第19話-届いた夢 ページ21
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高校を卒業した俺は、警察学校での研修期間を終えて・・・・・・念願の警察官になった。
そして、それから数年して大学生になった陣平や研二は、休日になると顔を見せに来てくれた。
大学生になった彼らは、あの頃よりもずっと大人に成長していた。
俺のすぐ近くに居た弟のような存在が、着実に成長している姿を見ていると、とても微笑ましくて・・・・・・同時に少し寂しさを感じた。
でも・・・・・・やっぱり千速も、研ちゃんも、陣平も、全員がそれぞれ目指しているものに向かって歩んでいる事が、俺は嬉しくて堪らなかった。
警察官として、一人の人間として、俺は幸せな日常を送れている。
「梅川巡査長、なーに考えてるんです?まさか職務中に、彼女の事とか考えてないですよね?」
パトロール中の車内で、運転席に座る部下が軽く眉を顰めた。
「ないない、少しだけ昔の事を思い出してたんだよ」
「昔の女ですか?まあ男って奴は、過去の恋愛を引きずりがちっていいますもんね〜」
「──お前って奴は、的外れな事言うんじゃないよ。・・・・・・それに、俺に昔の女なんて居ない」
「そうでしたね、梅川巡査長は女に興味無いムーブが基本のクールな草食系って巷で評判ですし」
「誰だよ、・・・・・・そんな評判流してるのは。俺のどこがクールっていうんだ」
今の俺には、恋愛に向けている熱量が仕事と比較すると少ないというだけで、決して草食系とかそういうタイプではないと思うのだが。
「そういえば、聞きました?例の凶悪事件」
「ああ、米花町で起きた連続通り魔事件の事か?容疑者が、未だ逃走中って話だろ」
この街の治安の悪さは、昔から相変わらずだ。
「だから、俺達がパトロールしているんだ。市民の平和を守る為に」
事件が起きては解決され、また事件が起きて・・・・・・。交番勤務の俺では解決出来ない事件が殆どだ。
──でも、あの人なら・・・・・・。
昔俺を助けてくれたあの警察官なら、きっと今でもこの街の人達を守り、解決してくれていることだろう。
──あの人みたいに・・・・・・俺も力の限りを尽くして、守ってみせる。
俺の大事な人達が、平和で暮らすことができる日常を。
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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時