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第18話-ボタンの欠片 ページ20

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「取られたって、油断し過ぎだろ。警察官志望してる奴が安易と取られてんじゃねえよ!」


「ええっ・・・・・・油断してたのは認めるが、そこまで怒ることじゃなくないか?向こうにも訳があったようだし・・・・・・な?」


 俺は助け船を出して貰おうと、研ちゃんの方に視線を向けた・・・・・・が、予想に反した反応が返ってきた。


「──いや、俺もAちゃんは甘過ぎると思うぜ。一度でも、そういう相手に隙を見せると、いずれまた付け込まれる可能性だってあるんだ」


「取られたまま黙ってるってのか?」


 いつもは説教する側だが、今日は立場が逆転していた。


「ちょっと、待てっ・・・・・・!!、さっきの『取られた』って言い方は語弊が生まれたから訂正する。──正確には、『服からボタンをむしられたが手元にはある』だ。・・・・・・それに、ちゃんと謝罪されたからそれ以上の話にはなってない」


「ほー・・・・・・」


 語弊が生まれるような言い方をしたが為に、内容が違う方向に逸れていると考えた俺は経緯を説明することにした。


「・・・・・・そんで?」


「どうしても、第ニボタンが欲しかったらしいんだ」


「──第ニボタンなんて、随分限定的だなぁ」


「どうやら彼の妹が欲しがってたとか何とかで・・・・・・、一カ月くらい前に頼まれてたんだが、断ってたんだ」


「「・・・・・・!?」」


「この制服、俺の金で買った物じゃないからな・・・・・・。それに、親戚の子に制服を譲る話が出てたから、可能な限り綺麗な状態で引き渡したかったんだよ」



 俺はポケットに入れていたボタンを取り出した。


「でも、ここまで壊れてると流石にもう使い物にならないだろうけど・・・・・・」


 俺の手のひらには、真っ二つに割れたボタンがあった。


「見事に割れてんな・・・・・・」


 カケラを手に取った陣平が、まじまじと見ていた。


「取り返す時に、自分で踏んでさ。・・・・・・コレはもう捨てるしかないけど、まあ予備ボタンが一個残ってるから、なんとかなるだろう」



「そっか・・・・・・じゃ、どうせ捨てるならさ、俺達がソレ貰っていいかな?」


「コレをか?俺は別に構わないけど、使えないぞ?」


「全然オッケ〜、問題ないよ。なっ、陣平ちゃん?」


「は、はあ?!俺は別にいらねーよ!」


「陣平ちゃん、やるなんて一言も言ってないぜ?」


「っ!!」


「冗談だって〜」


「萩テメッ・・・・・・」



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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時

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