第16話-高校卒業 ページ18
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桜が咲き誇る3月の初旬、俺は高校の卒業式を迎えていた。
「今日で高校生活終わりとか・・・・・・寂し〜」
「進学組はいいじゃん!来月から社会人だよ〜。アタシも皆んなと一緒に学生で居たいー!」
卒業証書とアルバムを抱えた卒業生達が、別れを惜しんでいた。
「梅ちゃああん!!達者でなあーーッ!!」
友人の木村が目を真っ赤に腫らして、俺の肩に腕を乗せていた。
「ははっ、木村も元気で!つーか、顔凄い事になってるぞ〜これ使えよ。」
「おッ、おうよ。梅ちゃんはホント面倒見良いよなぁ・・・・・・俺が女の子だったら、今ので落ちてたぜ」
「チョロいな木村、詐欺にはくれぐれも気を付けてくれよ」
俺が差し出したポケットティッシュを手に取ると、木村は濡れた顔を拭いた。
「サンキュー。騙された時は、是非相談に乗ってくれ」
「そういう話は、騙される前に相談してくれよ?友人としてでも、警察官としてでもいいからさ」
その時、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「へえ、頼もしい事言うじゃないかA」
「千速」
「流石は私が見込んでいる男だな。格好良いぞ」
千速は肘で横腹を軽く突いてきた。
「そりゃどうも。千速のお墨付きなんて、心強いな」
「ああ、そうだろう!自信を持っていい」
俺達の様子を見ていた木村が急に笑い出した。
「・・・・・・ふーっ、ハハハッ!俺、他のやつとも話してくるからよ。──梅ちゃん、応援してるぞ!!」
木村はニヤついた顔で俺の肩を叩くと、他の友人達の元へと走り去った。
「悪い、邪魔をしたな」
「──いや、平気だよ。話したい事は話せたからな・・・・・・それにしても千速、凄い数の贈り物だな」
「ああ・・・・・・コレか?友達と部活の後輩と、・・・・・・あとは名前も知らない奴からだな」
「さすがは人気者」
「それはAも、だろう。さっきも後輩の女子生徒から、渡されていただろう?」
「見てたのか・・・・・・」
「ああ、見てたさ。・・・・・・それを目撃した時のアイツらのあの慌て様は・・・・・・はははッ、正直面白かったな」
何かを思い出して笑い出した千速、一体何が笑いのツボに入ったのだろうか。
「何が面白いんだよ・・・・・・って、アイツら?」
千速が指を指した先には、馴染みの顔が揃っていた。
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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時