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第14話-不器用な幼馴染 Side:萩原 ページ16

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「陣平ちゃんってば、似合わないなんて言ったの?」



「言った、事実なんだから俺は悪くねえ」


 陣平ちゃんはAちゃんが駆けて行った方を一瞥して、家の中に帰ろうとしていた。


「全く陣平ちゃんは、不器用だね〜。・・・・・・素直に黒髪の方が好きだって言えば良いのに」


「はあ?!」


 俺の言葉を聞いて、陣平ちゃんは踵を返してこちらに向かってきた。


「俺が、なんだって??」


「照れるなよ、似合ってないなんて・・・・・・本当は思ってないんだろ?」


「・・・・・・別に、俺は」


「──Aちゃん、素直なところあるから・・・・・・本気に受け取って、落ち込んでるかもしれない」


「そんな事で落ち込むような奴じゃないだろ、アイツ・・・・・・」



 そう言いながらも陣平ちゃんは、バツが悪そうに頭を掻いていた。



「まっ、そんなタマじゃないか〜」


「なら問題ないだろ・・・・・・」


「──でも陣平ちゃん、知ってるか?意外とAちゃんに想いを寄せてる子が多いって」


「はあ?急になんの話だよ」


「好きな子には優しくって話だよ、陣平ちゃん。・・・・・・あんまり油断してると、Aちゃん、取られちゃうよ」


「・・・・・・」


 しばらくの間、その場に沈黙が訪れた。


──そう、油断していたら取られちまうぜ。


 いつだって、好きな人が自分以外の誰かを好きになってしまう可能性があるのだ。


「──例えば・・・・・・俺、とか?」


「はッ??萩ッお前やっぱり、Aのことっ・・・・・・」


 俺の言葉を聞いた陣平ちゃんが、明らかに動揺していた。


「凄え動揺してんなぁ、例えばの話だよ。にしても、陣平ちゃんは本当分かりやすいな〜」


「だーッかーらー、俺は別にッ・・・・・・」


「でもAちゃんに対しては、もっとストレートで行かないと伝わらないぜ?」


 俺がやや押し気味に言うと、陣平ちゃんは観念したのか玄関の石垣に腰を掛けた。


「──ああ、分かったよっ!!ちゃんと謝りゃ良いんだろ、謝りゃよ・・・・・・」


「お〜、陣平ちゃん偉いぞ〜!」


「萩、ちょっと黙ってろ」


「はいは〜い、俺は先に戻ってるよ」


 もうすぐAちゃんが帰ってくる時間だろう。








 俺は陣平ちゃんと別れて自宅に入ると、口元を緩ませた。



──たまには、不器用なライバルの背中を押してやるのもいいか。



 幼馴染で親友の陣平ちゃん、お前なら・・・・・・。




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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時

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