タイムリミット3秒前。 (ページ13)

今日:96 hit、昨日:147 hit、合計:13,667 hit

第11話-可愛い後輩ページ13

＊＊

　俺は高校生でもバスケ部に入部し、毎日夕方まで部活に打ち込んでいた。

「梅ちゃん、梅ちゃん！今日部活帰りにゲーセン行こうぜ、ゲーセン！」

　部室で帰り支度をしていると、横から友人が肩に腕を乗せてきた。

「今日？あ〜、パスだな。悪い」

「マジかよ、今日もか？あれか？彼女か？！くっそーッ！！やっぱり萩原さんなんて女神と付き合ってんのかよおおッ！？」

「ばッ、違うっての！千速じゃなくて、男の方の幼馴染だよ」

　人目も気にせず大な声を上げる友人に、俺は咄嗟に抗議した。

「なーんだ、梅ちゃんが可愛いがってる後輩かい。つーか梅ちゃんよ、今時中学生のお守りなんかしてんの？」

「別にお守りとかじゃないだろ、普通に遊んでるし･･････」

　もちろん一緒に遊ぶ事もあるが、昔からそれぞれがやりたい事をして、自由に遊ぶのが普通だった。

「ほーん、でも中坊って思春期真っ盛りじゃね？俺の弟はクソ生意気野郎だしうっぜ〜じゃんか」

「普通はそうだよな、やっぱり」

「なに、そいつら生意気じゃねえの？」

　俺の幼馴染達は皆んな地の頭の良さがある･･････いわゆる天才肌の集まりだ。

　
「いや凄く生意気、なところもあるけど･･････年相応で可愛いよ」

　大人びている研ちゃんと単純な陣平も、年並み外れた頭脳と行動力を持ち合わせているけれど、そんな二人が俺に子供らしい一面を見せてくれているというのはなんだか微笑ましいと思うのだ。

「梅ちゃんって、じいちゃんみたいな事言うんだな。今度から梅じいって呼んでいいか？」

「いいけど、今度から梅じいちゃんを労って体育館のモップがけ俺の分までしてくれよ？」

「いやだ〜、それだけは勘弁」

「あっ、Aちゃん〜！」

　部室から出ると、校門で女子生徒に囲まれている研ちゃんと不機嫌そうな陣平の姿があった。

「お前遅えよ」

「あれ、どうしてここで待ってるんだ？」

　約束していたのはいつも通り自宅前だったはずだったのだが、二人は制服姿のまま待っていた。

「──陣平ちゃんが早くAちゃんに会いたそうにしてたからさ、つい来ちゃった」

「萩っ･･････テメエ！──おいッ俺じゃねえぞ！！萩の野郎が無理矢理引っ張ってきたんだ！」

「可愛い奴だなあ･･････」

「だからちげえッて言ってんだろうがっーーー！」

　可愛い後輩に恵まれている俺は、本当に幸せ者だ。
　

＊＊