第8話-�� ページ47
＊＊
──身体が、動かせない。
酸欠状態のままベッドの上に放置された俺は、身体を起こす事も出来ずに転がっていた。
「っ･･････」
未だに謎の痺れが、手足に残っていた。
あれからジンの気が変わるまで、意識を飛ばさないギリギリのラインを攻められていた。
その様子は、理由もなく虫を握り潰して喜んでいる子供のようだというのが正しいのかもしれない。
すると、部屋の外から、こちらに向かってくる足音が聞こえた。
「っ！」
俺はベッドから、上半身を無理矢理起き上がらせた。
──この足音は･･････。
聞き馴染みがあり、ずっと待ち望んでいたあの人の足音だった。
「･･････」
ジンは拳銃に指をかけたまま、扉に視線を向けていた。
静かな部屋に、扉を叩く音が響いた。
扉のノックが2回、靴音が3回、三秒空けてノック4回鳴らされた。
「──失礼します、ウォッカです兄貴、お迎えに上がりやした」
「付けられていないだろうな」
「──はい、後を付けてくるような怪しい車は見かけやせんでしたぜ」
ジンにそう返答して、ウォッカはこちらに視線を向けた。
「っ、ウォッカ･･････！」
「──おう、ルシアン。地獄の旅は楽しめたか？」
緊張の糸が解かれていく感覚、･･････ウォッカの姿を確認した俺は、先程までの痺れが嘘のように引いていた。
「･･････最高だったよ。特にパンなんて、歯が折れるかと思った」
「ハハッ、そりゃあ最悪だな。残飯以下の物体を平気で出すようだしな、･･････」
ウォッカの視線が俺の首元に注がれている事に気が付いた。
──コレ、目立つのか。
俺は軽く首に触れてみると、掴まれていた部分がまだ僅かに熱を帯びていた。
「ウォッカ、直ぐに車を出せ。アレの出発時間が近い」
ジンは煙草の火を靴で擦り消すと、部屋を出て行った。
「ルシアン、支度しろ」
ウォッカはベッドから降りた俺の方を一瞥し、何かを放り投げた。
「･･････あ」
「それでも食って、気引き締めておけ」
そういうと、ウォッカは背を向けて歩き出した。
「･･････」
手のひらにあるのは、小袋に入ったチョコレート。俺はそっと口に含んだ。
「──、･･････本当に、甘い」
口の中で溶けていくチョコレート。脳に麻酔をかけられてしまったかのような、甘い痺れが俺を支配していた。
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猫饅頭。(プロフ) - 夢子さん» コメントありがとうございます！かっこいいジンニキと言って頂けて嬉しいです｡｡。応援ありがとうございます！！ (2023年5月11日 19時) (
レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - ジンニキかっこよきでした。更新楽しみにしてます‼︎ (2023年5月10日 23時) (レス) @page6 id: 913dff5ce5 (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - 夜鷹紫苑さん» ウォッカは、懐に入った人間には優しくしてくれるという解釈(偏見)です。それ以外の人間には、ジン同様非人道的であって欲しいと個人的には願っています｡｡ (2023年5月9日 22時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
夜鷹紫苑 - え?優しすぎませんすか? (2023年5月7日 0時) (レス) id: ec66583caa (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - 夜鷹紫苑さん» コメントありがとうございます！ウォッカのお手製おにぎり、美味しそうですよね...。その人の好みによって具材とか味付けを変えてくれそうです｡｡ (2023年5月6日 21時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年5月1日 12時
