第8話-�� ページ43
＊＊
店が並んでいた路地から少し歩いた場所に、ジンの愛車が停めてあった。
「──乗れ」
ジンは一言言うと、そのまま運転席に乗り込んだ。
「･･････」
俺はジンの指示通り、速やかに車の後部座席へと身体を滑り込ませた。
ジンはエンジンを掛けると、車のシガーソケットで煙草の火を付けていた。
車内に煙草の煙が充満し、空気がその匂いが俺の心をより一層落ち着かなくさせた。
「何か、言いたそうな顔じゃねぇか」
ジンの氷柱の様に冷たく鋭い視線が、バックミラー越しに俺へと向けられた。
「──ジンが俺を迎えに来てくれると、思ってなかったから」
俺は思っていた事をそのまま口にした。こういう場合、下手に言葉を誤魔化すと、かえってジンの機嫌を損ねてしまう事になると身に染みて分かっていた。
「ハッ、半端野郎のテメエの事だ･･････ウォッカが来るとでも思っていたんだろうが、アイツはお前のお守りだけが仕事な訳じゃねぇ。ウォッカには、別の仕事を与えている」
ジンはそう言うと、車を発進させた。
「･･････」
ジンに図星を突かれた俺は、流れゆく景色から目を逸らし、目的地に着くまで下を向いたまま黙り込んでいた。
しばらくを走らせると、車はレンガ造りの建物の隣に停車した。
「──降りろ、時間が来るまで此処で待機だ」
「オーケイ。･･････時間が来るまで、ね」
──つまり、またジンと二人きりってことか。
俺は車から降り、建物に入っていくジンの後ろに付いていった。
俺達はその建物の二階に上がり、一番突き当たりの部屋へと入った。
部屋の中には、小さなテーブル、一人掛けのソファー、そしてセミダブルのベッドが一つだけ置かれていた。
ジンはソファーに腰を下ろして、再び煙草を吸い始めた。
「── ･･････」
俺は入り口で立ち尽くしたまま、その様子を見ていた。
「何をしている」
「え、ああ･･････立ってる」
「そこに立たれていると、目障りだ」
俺はジンに言われて、部屋の奥へと移動した。部屋の中でジンの視界に入らない場所である、ベッドの足元に腰を下ろした。
再び沈黙が訪れ、部屋にはジンの煙草を吸う音だけが残った。
──どうして、ジンが迎えに来たんだろう。
いつもなら、こういう役目はウォッカが任されていたのだ。
次第に閉じていく瞼が、俺の意識を奪っていった。
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猫饅頭。(プロフ) - 夢子さん» コメントありがとうございます！かっこいいジンニキと言って頂けて嬉しいです｡｡。応援ありがとうございます！！ (2023年5月11日 19時) (
レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - ジンニキかっこよきでした。更新楽しみにしてます‼︎ (2023年5月10日 23時) (レス) @page6 id: 913dff5ce5 (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - 夜鷹紫苑さん» ウォッカは、懐に入った人間には優しくしてくれるという解釈(偏見)です。それ以外の人間には、ジン同様非人道的であって欲しいと個人的には願っています｡｡ (2023年5月9日 22時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
夜鷹紫苑 - え?優しすぎませんすか? (2023年5月7日 0時) (レス) id: ec66583caa (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - 夜鷹紫苑さん» コメントありがとうございます！ウォッカのお手製おにぎり、美味しそうですよね...。その人の好みによって具材とか味付けを変えてくれそうです｡｡ (2023年5月6日 21時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年5月1日 12時
