第7話-Side:ジン ページ37
＊＊
「──兄貴、お疲れ様です。下見はバッチリしてきやした」
「何か不審なブツはあったか？」
「不審物らしき物は見つかりやせんでした。ただ･･････一階の隠し部屋に、持ち主が放置したと思しきゴミがあったくらいでしたぜ」
「この変な臭いはソイツが原因ということか」
「ええ、まあ。一応封鎖しやしたが、近くに行くと更に酷い臭い放ちがやって･･････兄貴もそこには近付かない方がいいですぜ」
ウォッカはそういうと、暗い廊下の先を指差した。
「･･････」
「そ、そういや･･････兄貴、ルシアンの野郎が最終試験まで向かえたって話聞きやしたか？」
「──ああ、聞いたぜ。施設から報告があった･･････見た目よりは使える奴だとか何とかな」
「へへッ、さすがジンの兄貴から指導を受けていただけはありやしたね。･･････ルシアンの奴、射撃の正確性もかなり精度が高かったからなあ」
ウォッカが普段より饒舌に話し始めた。
「ハッ、当然だ･･････アイツがこの程度で弱音を吐くような雑魚なら、そう判断した瞬間に始末している」
一先ず、奴が使い物になる事は確かなようだ。
「･･････」
ウォッカは、俺の方を見るなり黙り込んだ。
「･･････何だ、ウォッカ。何か言いたい事でもあるのか？」
「へへッ、なんか･･････兄貴、機嫌が良さそうだなと思いやして」
ウォッカの言葉に、俺は引っ掛かりを覚えた。
──俺の機嫌がいいだと？何をどう見たらそうなるんだ。
「──くだらねえ事考えてんじゃねえぞ、ウォッカ！さっさと準備だけ進めてろッ」
「すっ、すみません兄貴ッ！！」
俺が強く言い捨てると、ウォッカは取引の準備に取り掛り始めた。
「･･････」
俺が煙草を取り出すと、ウォッカがすかさずライターの火を差し出した。
──細かい野郎だ･･････。
ウォッカは、人の表情・動作から周囲の状況を判断する能力も高いが、その反面ルシアンのように手の掛かる奴に感化されやすい点は引き続き注意が必要だ。
──相手に庇護欲を持たせる･･････それもルシアンが生き残る為に必要な術の一つか。
そして、奴の育て親であるウォッカは、そういう感情を持つ事は避けられなかったという訳だ。
──奴の有効的な使い道を、改めて考える必要がありそうだ。
道具の価値も、扱い方一つで変わるのだから。
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猫饅頭。(プロフ) - 夢子さん» コメントありがとうございます！かっこいいジンニキと言って頂けて嬉しいです｡｡。応援ありがとうございます！！ (2023年5月11日 19時) (
レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - ジンニキかっこよきでした。更新楽しみにしてます‼︎ (2023年5月10日 23時) (レス) @page6 id: 913dff5ce5 (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - 夜鷹紫苑さん» ウォッカは、懐に入った人間には優しくしてくれるという解釈(偏見)です。それ以外の人間には、ジン同様非人道的であって欲しいと個人的には願っています｡｡ (2023年5月9日 22時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
夜鷹紫苑 - え?優しすぎませんすか? (2023年5月7日 0時) (レス) id: ec66583caa (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - 夜鷹紫苑さん» コメントありがとうございます！ウォッカのお手製おにぎり、美味しそうですよね...。その人の好みによって具材とか味付けを変えてくれそうです｡｡ (2023年5月6日 21時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年5月1日 12時
