第8話-インターポールからの招待状 ページ10
＊＊
──フランクフルトの事件より、数ヶ月前。──
俺のセーフハウスにて･･････。
「──来たぜ、ようやくこの日がな･･････」
そういって、ピンガは俺にスマホの画面を向けた。
《拝啓 グレース様 この度はパシフィックブイの──･･････》
画面には、日本語でインターポールからパシフィックブイへの案内メールが表示されていた。
「明日、俺はここに潜り込む。最新の技術が詰まった
「あれだろ？老若認証システムとかいう、なんか画期的なヤツ」
「そうだ。それを使えば、年齢人種性別関係なく、予測映像で人間の顔を照合する事が出来るみてえだぜ。使い様によっては、世界中の防犯カメラの映像を捏造・書き換え可能、標的探しだって楽になるんだ･･････」
「そりゃ凄えな･･････、俺も触りてえ〜！そのシステム･･････」
「例の日が来たら、お前にもちゃんと触らせてやるよ･･････」
「ハハ、いいね。楽しみにしとく」
ピンガは機嫌が良さげに鼻歌を歌っている。俺はその横で、コーヒーを淹れる。そして、いつものマグカップに注いでいく。
──ピンガ〜はブラック、んで･･････俺はミルク〜。
冷蔵庫からミルクを取り出し、俺の分だけミルクを少々追加しておく。
「ほい、コーヒー」
「──ああ･･････サンキュ」
ピンガは俺からマグカップを受け取ると、ゆっくりとコーヒーを口にした。
「──パシフィックブイ･･････、建物が海ん中にあるらしい」
「へえ、海の中か･･････海水で冷却が出来るとか？」
「まあ、そんな感じなんじゃねーの。詳しくは潜入してから教えてやる」
それから、ピンガは任務の最終確認をするため、組織のメンバーと連絡を取り始める。俺はその隣で、机に並べてあるネイルを手に取って塗り始めた。
鮮やかな青色のネイルに、繊細なパーツをピンセットで飾り付ける。
──イイ感じ。
俺は指先にLEDライトを当てて、ネイルを硬化させる。
用事を済ませたピンガは、俺の指先を見て呟いた。
「ふーんいいじゃん、ネイル」
「そーでしょ、最近で一番イイ感じに塗れたと思う」
その言葉に自然と口元を緩ませながら、ネイルを元の位置に戻した。
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年4月29日 2時
