蒼い記憶は深海に消える。【完】 (ページ9)

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第7話-フランクフルトでの任務② ページ9

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　ネットワークセンター周辺の監視カメラをハッキングし、閑散とした映像を眺める。

　その背景に、見慣れたシルエットが映り込んだ。

──ピンガ･･････。

　ピンガは身軽な身のこなしで通り過ぎていった。

──じゃ、ここも消去･･････っと。

　俺はパソコンでソフトウェアを起動すると、監視カメラの映像一部消去され、代わりに別のモノに書き換わっていく。

──ざまあねえの･･････、ユーロポール。

　どんな防犯システムを備えていようと、ピンガと俺に侵入出来ないプログラムなんてないのだ。

　俺は次々とデータ改ざんしていく。単純で簡単な作業、痕跡なんてものは残してやらない。

　ピンガが内部に侵入して数分後、俺は一時的に消去作業を止めた。

──そろそろか？

　俺はパソコンから別のソフトウェアを立ち上げると、先程まで表示されていなかった膨大なセキュリティデータが画面に現れた。

──おっ、ビンゴ！･･････さすが相棒、仕事が早い。

　バックドアが出来ている。これで、今回の仕事の目的は達成された。

　あとは残りの監視カメラのデータを改ざんするだけだ。

　俺が監視カメラの映像に目を移すと、建物内から女が一人出てくるのを確認した。そして、その後ろを物凄いスピードで一台のバイクが追っていた。

　俺の携帯が鳴る。画面を開くと、ピンガからのメッセージが届いていた。

p：《女が一人逃げた。》

p：《キールが追ってる。》

　《りょーかい》

　《扉(ドア)確認、あとは後始末だけ》

p：《分かった。》

p：《今から建物出る。》

　十数秒後、建物から出てくる相棒の姿を確認し、再度監視カメラのデータを改ざんする。

──任務完了、っと。

　仕事を俺はパソコンを閉じて、ピンガを待っていた。

　そして、川沿いの方角から銃声が聞こえた。

──人生終了の合図･･････。

　運悪く見てはいけないモノを見てしまった女。想定外の殺しだといえ、物的証拠はない。この事件の犯人を特定することは出来ないだろう。

──帰って、ネイルでもするかな。

p：《着いた。》

　《りょーかい、そっちにいく》

　俺は荷物をまとめると、相棒が待つ場所へ歩き始めた。

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