蒼い記憶は深海に消える。【完】 (ページ8)

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第6話-フランクフルトでの任務① ページ8

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──ドイツ、フランクフルト──

　今回の任務は、ドイツのフランクフルトにある〈ユーロポール・防犯カメラ・ネットワークセンター〉の防犯システムに侵入し、バックドアを仕掛けるというものだ。

　ピンガの任務は、直接センターに忍び込んで、管理ＰＣを操作することだ。

──それで、俺は遠隔でサポート･･････。

　本当は側で助けていたいが、今回の任務は組織にとっても機密案件らしく、幹部レベルの人間しか任務の内容を知る権利が与えられていないのだ。

「──お前は、この場所で周辺の防犯カメラをハックしておいてくれ」

「りょーかい。ま、･･････俺以外にも、何人か幹部の連中が待機してるんだろ？」

　俺はノートパソコンを操作しながら、ピンガに問いかけた。

「･･････まあな、キールが一応サポートで入るみてえだ。あの女のことは、お前も知ってるだろ」

「あれでしょ、アナウンサーの水無(みずなし)怜奈(れな)。日本美人って感じだよね、彼女」

──キール、とある事件から幹部として花咲いた組織メンバーか･･････。

　表の顔は、日本で人気のアナウンサー、かなりの切れ者という話だ。

「テメエの脳みそはお花畑かよ。どのみち、奴の手を借りる事もねえよ」

「上手くいく事を願ってるぜ･･････」

──でも、どうしてだ。

　最近、無性に嫌な予感がするのだ。

　俺というより、ふとピンガの背中を見ていると、急な不安が襲って来る。

──なんだ、この嫌な感じは。

　ピンガの仕事が心配なのではない、ピンガの身の安全が心配になってしまうのだ。

──信用できる相手がいない。

　俺の勘は良く当たる。それは、良い事も･･････悪い事も、同じ様に当たるのだ。

──外れてくれよ、俺の勘･･････。

　嫌な考えを振り払う様に、俺はパソコンの操作に集中する。

「━━んじゃ、行ってくる」

「･･････ああ、行ってら」

　小さくなっていく相棒の背中を、俺は見守る事しかできない。

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