第4話-バー ページ6
＊＊
無事買い物を終えた俺達は、路地にあるバーへと向かった。
店の扉を開けると、小さくベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
カウンターで作業をしていたバーテンダーが、顔を上げる。そして、入ってきた客が俺達と知ると、手を止めてこちらに駆け寄ってきた。
「──A様ですね。いつも
俺は案内された席に着くと、隣で何か言いたげなグレースに視線を向けながら、椅子を引いた。
「どうぞ、レディ」
「･･････どうもありがとう」
グレースは、優雅な仕草で席に座った。
「それにしても、こんな真っ昼間からお酒飲むつもりなのかしら？」
「俺はそれでも構わないけど、君はこの後仕事があるんでしょ？──ここは、パスタが美味しいんだよね〜」
俺はメニュー表を開いて、パスタを選ぶ。
「俺は小海老のペペロンチーノにするかな。──グレースは何にする？」
グレースは、メニューをしばらく眺めると、呼び出しベルを鳴らした。
「本日はお越しいただきありがとうございます。ご注文をお伺いいたします」
俺が注文するべく口を開く前に、グレースがそれに答えた。
「サラダ１つ、ホットコーヒー２つ、それと、ペペロンチーノ２つ、以上ね」
「──はい、かしこまりました。コーヒーはお砂糖とミルクはいかがしますか？」
「ワタシはブラック、彼にはミルクだけ付けてくれるかしら」
ボーイは少々お待ち下さいと言った後、カウンターへ戻っていった。
その様子を見送ると、俺にしか聞こえない位の声でピンガが話し始めた。
「──それで、いつからここに入り浸ってるんだ･･････A」
「１年前くらいからだよ、この店のマスターとオトモダチになってね。中々いい店だろ？」
「･･････店の雰囲気はいいな、でもそのマスターって奴は信用できるのか？」
「なに、ヤキモチでも焼いてくれてるのか？」
「殺すぞ、調子に乗んな･･････」
「怖いなあ、冗談だよ。まあ･･････マスターは、俺に惚れ込んでるみたいでな。色々とお願いを聞いてくれるのさ」
ここのマスターとは、一年半程前にバーで出会い、彼が
「あんまり遊んでると足元掬われるぞ」
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年4月29日 2時
