検索窓
今日:23 hit、昨日:14 hit、合計:11,351 hit

第32話-蒼い記憶と共に ページ34

**







「──相棒、俺の片腕は使いモノにならねえ・・・・・・」



 固定された包帯塗れの右腕を眺めながら、俺は自嘲気味に呟いた。



「そうだな、お前の右腕は全く使いモノにならねえ・・・・・・だがな──」




 相棒は鋭い声で吐き捨てると、俺の腕を掴んだ。




「──まだ左腕があるだろ・・・・・・。その左腕、貸してくれるんだろ?」



「──っ・・・・・・!!」



「──足りねえ分は、俺が持ってるから問題ねえ・・・・・・。──だから、お前は大人しく俺の左腕になれ!」





──何だよ・・・・・・それ・・・・・・。




「──ははっ、なれって・・・・・・命令形かい」



 ピンガは良くも悪くも正直なのだ。



「──っあー・・・・・・、っ・・・・・・俺の降参だ!!相棒の希望通り、左腕もくれてやるし、船も手配してやる・・・・・・」





 だから、決してお世辞なんてモノではないのだ。




──最初から、この選択肢しかないじゃないか。




「──その代わり、ジンの野郎の息の根を止めるのは俺だ・・・・・・これは相棒と言えど絶対に譲らねえぜ?」



「ハッ、俺だって譲らねえよッ!──俺があの野郎を終わらせてやる・・・・・・!!!」




 差し出した俺の左手の拳と、相棒の拳が力強く触れた。















 



「──準備はできたか?相棒」



「ああ、出来てる。お前はどうなんだ?」



「勿論、・・・・・・覚悟も出来てるよ」



 
 建物の外から、船のエンジン音が聞こえてきた。



「短い間だったけど、相棒と無人島生活は楽しかったぜ」



「・・・・・・まあ、悪くはなかった」




 相棒はコーンローの髪を小さく揺らした。




「そりゃ良かった。・・・・・・次の目的地は、地獄だぜ!」



「──フッ・・・・・・、望むところだ!」









 未だ朝日が差していない薄暗い浜辺に出ると、マスターが出迎えた。



「──A様、ピンガ様・・・・・・お迎えに上がりました」



「おはよう、マスター。朝っぱらから俺の為に駆け付けてくれて、ありがとう・・・・・・」




「──いえ、私はこのくらいしか出来ませんので・・・・・・」







 俺達が彼の船に乗り込むと、船は静かな海の上で動き始めた。










「──地獄の果てまで側にいろ・・・・・・相棒」






 ピンガは俺の瞳を見つめて、不適な顔で微笑んだ。



















【完】



**

------完結:あとがき。→←第31話-消したいモノ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
設定タグ:コナン , ピンガ , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年4月29日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。