第28話-孤島生活�ぁ�Side:ピンガ ページ30
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孤島生活が始まってしばらくの月日が経った頃、インスタントな食事に飽きてきた俺たちは、島の中を散策することにした。
効率よく二手に分かれて、Aは島の内側で植物採取を、俺は外側の浜辺で食料を探すことになった。
俺はバケツを片手に、ふかふかな砂浜をゆっくりと歩いていく。
「･･････」
ふと砂浜に屈みこんで、俺は微かに光を含んだ手で砂を掬ってみた。すると、指の隙間から灰色の砂が滑り落ちていった。
「──俺は･･････一体何者なんだ？」
あれから何度アイツに過去の事を聞いても、決まって冗談を言うか誤魔化されていた。
『記憶なんてふと思い出すかもしれないしさ、急がなくていいじゃん？』
頑なに言おうとしないその様子に、俺は何とも言えない苛立ちを感じていた。
「俺が忘れたままでもいいのかよ･･････」
俺を相棒と呼ぶアイツは、
──くそっ、ああ･･････ムカつく。
自分に対して嫉妬しているような、理解不能で不快な感覚が離れない。
「──チッ･･････！」
湧き上がってきた苛立ちに舌打ちをし、盛り上がっていた砂浜を蹴り上げた時･･････何か固いモノが砂浜に埋まっているような感覚がした。
「･･････ん？」
足で更に砂を避けると、確かにガラス瓶が逆さに突き刺さるように埋まっていた。
「･･････」
俺は無性に気になって、そのガラス瓶を砂浜から引き抜いた。
瓶の中に詰まった砂と表面の砂を払い落とし、･･････目に入った文字を見た瞬間、俺は息が詰まった。
「──ッ？！Ｇ、･･････Ｉ、Ｎ、──ジンッ･･････！！」
濁流の様に蘇ってくる記憶に、俺は頭を抱えてその場に屈み込んだ。
瞳に映る『ＧＩＮ』という、その文字列が俺の頭の中を酷く搔き乱している。
激しい憎悪、劣等感、羨望、屈辱、嫉妬、･･････そして何より感じた圧倒的な殺意が俺の全てを支配していた。
「──あの野郎のせいでッ･･････！！全てが水の泡になってんじゃねえかッ！！！」
拳をガラス瓶に叩きつけるが、分厚い酒瓶にはヒビ一つも入らなかった。
「──ッ！？あ、相棒っ！！何があったッ？！」
俺の怒鳴り声を聞きつけたアイツが、負傷した足構わず走ってきた。
「──ハハッ、全部思い出した･･････」
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年4月29日 2時
