蒼い記憶は深海に消える。【完】 (ページ27)

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第25話-孤島生活① ページ27

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　相棒が意識を取り戻した事で、俺の楽しい孤島生活が始まった。

「早く起きろ」

　朝は決まって、相棒に布団を剥がされて目を覚ます。

「おはよ～、ピンガ。･･････って、まだ外暗くね？」

　時計は午前6時を指していた。

「俺の目が覚めたんだよ」

「おお、マジか･･････それで起こした感じ？」

──俺が起きてないと寂しいからって、･･････可愛い奴だな。

「──違う、･･････コーヒー多めに作り過ぎた」

「否定すんのッ･･････！？俺、まだ口に出してなかったのに」

「ニヤけてんので分かるだろ、キモさが滲み出てんだよ」

「俺の扱いは相変わらず変わんないのな･･････」

　相棒に差し出されたマグカップを受け取った俺は、思わず動きを止めた。

「──なんだよ･･････、飲まないのか？」

「んや、飲む･･････。コーヒーってさ、普通ブラックじゃないのかと思ってさ･･････」

「･･････ああ、ミルク嫌いだったか？棚にコーヒークリームあったから淹れてみたんだけど」

　ただの偶然だとはいえ、記憶が戻ったかの様な相棒の行動に俺は嬉しくなった。

「──好きだよ、ミルクコーヒー」

　俺はコーヒーを口に運ぶと、冷えた身体が温かくなっていく。

「ならいい、砂糖要るなら自分で調節してくれ」

「ありがと、でも俺は無糖派なんだ」

「ふーん、･･････」

　俺がそういうと、相棒は砂糖の入った容器を元の場所へと戻した。

　相棒のそんな後ろ姿を眺めながら俺は、コーヒーを胃の中に流し込んだ。

「･･････」

　俺は自慢じゃないが、嘘を付くのが得意な方だと思う。

　例え、自分の命を救ったお人よし相手だろうが、女子供･･････誰であろうが、平気で騙すし、必要ならば殺すことだって厭わない正真正銘のクズだと自負している。

　本当は、コーヒーもどちらかというとブラックの方が好きだ。･･････けれど、俺はいつもコーヒーにミルクを入れている。この行動に、深い意味なんてものはないのである。

　俺はこういう意味のない嘘を平然と付くし、気持ちの悪い軽口も容赦なく言う最低人間だが、相棒が不利になるような嘘は付かない。

「なに･･････？」

　俺の視線に気が付いた相棒は、怪訝な顔をしていた。

「コーヒー、もう一杯もらえるかな？」

「ああ･･････」

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