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第19話-賭け ページ21

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 体温がある程度回復してくると、俺は身に付けていた道具の動作確認を行なっていた。



 ピンガの携帯は爆発の衝撃で、海底の何処かへ流されてしまっていたが、俺は液晶が割れていたものの、何とか使えそうだった。


 ピンガのスマホは、組織の人間の情報が詰まっていたのもあって、逆に海底に沈んで正解だっただろう。


 下手にコレを持っていた場合、組織の人間にピンガの居場所を察知される可能性があるからだ。



 その点、俺はピンガを通してでなければ、組織の人間とコンタクトを取ることは叶わない末端の工作員だったのだ。


 けれど、このままこの場所に居るのはリスクが高い。



──この規模だと、公安が出張ってるだろうしな・・・・・・。



 ジン達の仕業なのか、パシフィックブイは絶賛大炎上中のようだ。



 この機を逃せば、俺達はいずれサツに身柄を拘束されてしまうだろう。




──豚箱は御免だ。



 それに、相棒の意識も心配だ・・・・・・あと数時間もすれば、俺のアドレナリンが切れて負傷した怪我で発熱する可能性だってある。




「・・・・・・かけるか」





 俺は連絡先の欄を表示し、彼にメッセージを送信する。






 すると、即座に返事が返ってきた。





×:《今すぐ迎えに行きます》





 そして数分後、彼は本当に俺達の元へやってきた。



「──お待たせしました・・・・・・、Aさん」




 彼は相棒の身体を支えて、海岸に停めてあった魚船に乗せた。そして、俺もその後ろに続いて乗り込むと、船は静かに海へと進んでいった。





 漁船の中にいた小柄な老人は、医者のようで相棒の容体を診察していた。



「ふむ・・・・・・この方、脳震盪を起こしていますね。背中と肋骨の外傷は少し酷くみえますが、反応も十分正常ですので命には別状はないかと・・・・・・」


「そう、ですか・・・・・・。ありがとうございます」


 それを聞いて、俺は安堵で胸を撫で下ろした。


「はあ・・・・・・よかった」


 急に気が抜けて、疲労感と激痛が一気に襲ってきたのか、俺は床に倒れたまま動けなくなった。



「それより、君の怪我だがね・・・・・・。右肩から指先にかけて、完全に粉砕骨折・・・・・・、両足の指先の骨折、肋骨4本にヒビ、こんな状態で良くここまで動けていたもんだ・・・・・・」



「俺もそう思います」



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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年4月29日 2時

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