第1話-事件の5年前 ページ3
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俺はA。出生は不明、物心つく前からスラム街で育った━━いわばストリートチルドレンだ。
生きる為なら、何でもやった。生憎、綺麗な顔に生まれたお陰で、色々稼げる事が多かった。
多分、悪い事は一通りした、もちろん命だって･･････。
ピンガとは、出会った時から怖いくらい気が合う仲間で、気付けばどんな時も一緒に居た。
ピンガも俺と同じく綺麗な顔で賢い奴だったから、俺達は徒党を組んで散々遊び尽くしていた。
そして、流れるまま、俺達はとある犯罪組織に入っていた。
組織のトレードマークは『カラス』、黒服が正装みたいで、前に見た幹部の連中は全員真っ黒だった。
その黒い組織の幹部には、酒の名前『コードネーム』が与えられているらしく、俺の相棒は『ピンガ』と呼ばれている。
━━ピンガは、ブラジル原産の蒸留酒。最高の命名だよな･･････、俺は好きだ。
俺もそれに習って、それからは相棒の事を『ピンガ』と呼んでいる。
これから、ピンガは組織の任務で、かの有名なインターポールにスパイとして潜り込む。しかも、女の姿でだ。
「なあ、ピンガ･･････」
「･･････んだよ、A」
「━━任務、気を付けてな･･････」
「トーゼン、俺を誰だと思ってる」
ピンガの挑発的な目が、俺を捉えた。
「━━━っ！！」
まるで、全ての獲物を食い尽くす肉食獣の瞳のようだ。
━━この目、やっぱり最高だな･･････ゾクゾクする。
「━━ピンガ、俺の兄弟･･････だろ？？」
俺は拳を突き出し、ピンガもそれに拳を当てた。
「何かあったら、俺を呼べよ。━━例え、海の底でも、絶ッ対助けに行ってやるからよ」
「バーカ、そんな事にはならねえ･･････。なんなら、海ん中だろうが、お前をボロ雑巾になるまでパシリ尽くしてやるぜ」
「それは嬉しいね。いっその事、塵になるまで使ってくれてもいいけどな」
「キッんモッ、クソドM野郎じゃねえか･･････」
「ありがとう」
「だからッ褒めてねえよッ！！」
━━なあ、相棒･･････。
━━さっきの言葉は本気だぜ？
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年4月29日 2時
