第17話-悟り ページ19
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俺は漆黒の海をヘッドライトで照らしながら、ひたすら泳いでいく。
──クソッ･･････！！視界が悪くて、先が見えねえ･･････。
正確な居場所なんて分からない、そもそも俺の手助けが必要なのかも分からない。
けれど、探さずにはいられない。
──無事でさえいてくれたら、それでいい･･････。
数年前から事前に調査していた海底の情報と、自身の直感を頼りに俺は泳ぐ事しかできない。
いまだに相棒からの連絡は入っていない。
その事実が、俺の焦りを更に増幅させていく。
──こっちには居ないのかっ･･････。
緊張しているのか、俺の手は小刻みに震えていた。
──落ち着け、俺･･････。震えを止めろ･･････！
先程潜水艦がいた位置までは、とっくに泳いできているはずだ。
あの攻撃を受けて、どこまで移動したのだろうか。
──奴等なら、どの方面へ向かう･･････。
俺は頭をフル回転させながら、更に奥へと潜っていく。
すると、数十メール先に見覚えのあるシルエットが視界に入った。
「ッ･･････！！」
俺は全力でその姿の元へと掻き泳いでいく。
そして、スマホを手にする相棒の腕を掴んだ。
──やっと、見つけた･･････！！
「･･････」
瞳に俺の姿を写したその顔は、何かを悟った様な･･････そんなピンガの顔だった。
視界の奥に沈んでいた潜水艦には、脱出ポッドが見当たらなかった。
「──ッ！？」
俺は咄嗟に動かない相棒の腕を掴んだまま、潜水艦から距離を取ろうと泳いでいた･･････その数秒後の出来事だった。
視界を遮断する様な閃光と骨を粉砕する様な強烈な水圧に、俺の身体は吹き飛ばされた。
「ッ──ごゥ、ッ──ぐッゥ、･･････！！！！」
こちらに向かって飛んできた金属の板を右腕で受け止めると、骨が砕ける感覚がした。
その衝撃で、ピンガの腕を掴んでいた手が俺の手から離れてしまった。
「──ッ･･････」
身体中の激痛で悲鳴を上げていたが、直ぐに冷静になった。
──ピンガッ？！
俺は左手で金属の板を盾にしながら、同様に後方へ吹き飛ばされてしまった相棒の元へと向かった。
「──ッ！！」
相棒は運悪く、後頭部を岩礁帯にぶつけてしまったのか、ぐったりとしたまま動かなくなってしまっていた。
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年4月29日 2時
