第15話-脱出 ページ17
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あれから数時間後、事態は急変した。
p:《正体がバレた、》
p:《今から海に出る。》
そう相棒から連絡を受けた俺は、全身が凍り付く様な嫌な予感に支配された。
《サポートはいるか?》
p:《問題ない、》
p:《これから潜水艦でジン達と合流する。》
ジン、という名前に俺は更に胸騒ぎが止まなくなる。
《着いたら、速攻で連絡しろよ》
p:《ああ、》
p:《すぐ連絡する。》
「・・・・・・くそッ!!」
──おかしい、正体がバレたって・・・・・・あんなに完璧だったのに!!
誰よりも努力家で、美しくて、狡猾なピンガと、何処から見ても完璧な女のグレースを同一人物だなんて、言い当てられるはずがない。
「──江戸川、コナン・・・・・・」
ふと口にしたのは、先程まで調べていた子供の名前だった。
「・・・・・・」
少女を誘拐させた時に、異常な程の判断能力でウォッカとピンガを追跡していた子供・・・・・・江戸川コナン。
──あのガキ・・・・・・あの時殺しておくべきだった!
恐らく、いや・・・・・・確実に相棒の正体を暴いたのは紛れもなく、江戸川コナンである、と直感がそう言っていた。
──まだ、何か起こしやがるかもしれねえ・・・・・・!
広げていた荷物をまとめてホテルをチェックアウトすると、俺は海岸の方へ向かって駆け出した。
「──っ!!」
音を立てない様に海岸沿いの道を静かに走っていると、少し離れた場所に、朝方にはなかった車が停車していた。
俺は素早く身を隠し、様子を伺ってみると、暗くて顔はよく見えないが、スーツを来た男二人が何か会話をしていた。
── 一般人、・・・・・・じゃねえな。
特に上司の様な男は、一瞬でも気を抜くとこちらの気配を察知されてしまいそうな、そんな研ぎ澄まされた雰囲気を感じた。
俺は来た道を迂回し、別のルートで海岸へと向かう事にした。
──それにしても、さっきの男・・・・・・何処かで・・・・・・。
あの雰囲気の男と、俺は何処かで見たことがあった気がしていた。
そんな事を頭に過らせていた俺だったが、海岸へと着いた時、目の前に映った光景を見て、思考が止まった。
「──なん、だ・・・・・・あれ・・・・・・」
真っ黒なはずの海が眩い光を放っていた。
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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年4月29日 2時