第9話-�� ページ3
＊＊
長時間の船旅を終えて、俺は慣れ親しんだ自室へと帰ってきた。
「･･････ただいま」
部屋に入るなり、靴を脱ぎ捨てるとベッドへと倒れ込んだ。
──布団が柔らかい、最高。
中綿が潰れて薄くなった枕でさえも、俺を優しく迎え入れてくれている気がした。
──起き上がりたくない。
決して寝心地が良いとはいえなかったベッドが、こんなにも満足したのは初めてだ。
それから数十分後、ウォッカが両手に大きな袋を抱えてやってきた。
「オイ、ルシアン起きろ！」
「･･････ぅ、なにぃ」
ウォッカにお尻を叩かれたが、俺は未だ動けずにいた。
「──お前、臭えんだよ。飯作ってやるから、まず風呂に入って来い」
「ええ･･････酷いよ、ウォッカぁ。臭いとか、･･････くさっ」
確かに臭かった。まるで、ドブの中に落とされた時の様なそんな泥臭いタイプの臭いだ。
「ごめん、もしかしてずっと臭ってた？」
訓練施設にいる間は、泥水のように濁った水で拭く程度しか出来なかった。
「ああ、車の中は･･････そりゃもう地獄だったぜ」
「そ、それはごめん」
──ジンの機嫌が悪かったの、これも原因だったりして･･････？
肩を落とした俺の姿を見てウォッカは、意地悪な笑みを浮かべた。
「ハハッ、地獄ってのはさすがに冗談だ！まあ、臭えのは変わりねえがな」
「･･････」
「拗ねるなよ」
俺は上機嫌なウォッカを尻目に、シャワー室へと歩いていった。
シャワーを浴びた俺を待っていたのは、ウォッカお手製のニンニク醤油
「ほら、食え」
「･･････美味しい、さすがウォッカ。天才的な美味しさだね。世界一俺の口に合うと思ってる」
「ッ馬鹿か、そりゃ褒め過ぎだろ」
ウォッカは照れ臭そうな表情のまま、俺にココアを淹れてくれた。
「──それで、逃げ出した子どうなったの？」
俺は食後のアイスクリームを頬張りながら、気になっていた事を聞いてみた。
「あ？シェリーの事か？」
ウォッカは、気まずそうに口を開いた。
「──奴が問題を起こしたお陰で、兄貴の機嫌が最高に悪い。くれぐれも兄貴の前で、奴の話題を出すんじゃねえぞ」
「オーケイ。気を付けるよ」
俺は後片付けをしているウォッカの背中を眺めていた。
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猫饅頭。(プロフ) - あやなみさん» あやなみさん、応援コメントありがとうございます！面白いと思って頂けて、凄く嬉しいです。ボード件に関しましては、お気持ちは大変嬉しいのですが、こちらのサイトでは、基本的に作品投稿と進捗報告のみとしております。交流は、X(旧ﾂｲｯﾀｰ)にて行っております。 (3月8日 20時) (
レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ(プロフ) - 猫饅頭。さん» ✉️。こんにちは！面白いです、BL大好きなので本当に最高過ぎて尊過ぎました🫶、あの嫌じゃなければボードで一緒に会話しませんか？これからも更新応援してます。 (3月8日 8時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
猫饅頭。(プロフ) - シルフィさん» シルフィさん、コメントありがとうございます！読んで頂けてとても光栄です。不定期更新ではありますが、引き続き更新できるように頑張っていこうと思っておりますので、気長にお待ち頂けますと幸いです。 (2月24日 21時) (レス) id: 72178cca42 (このIDを非表示/違反報告)
シルフィ - 見てます(o´∀`)b更新楽しみにしてます！ (2月24日 11時) (レス) id: 5010c918af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2024年2月15日 18時
