寒い冬は腕の中 ( 剛典 )

銀のリング ページ43

わたしの左手の薬指で輝いているリングは




三年前





五年記念日の時にたかのりくんから初めて貰ったリングと同じものだった






同じように、右手の薬指につけて
毎日身につけていた






たかのりくんの親戚の子が遊びに来たとき、リングが見たいっていうから貸した。ほんとは貸したくなかった。







大切なものほど、早く無くなる。






リングは、親戚の子の指よりはるかに大きくて、ストンと抜けてそのまま溝に落ちた。






その時は、親戚の子が泣きじゃくりながらごめんなさいって何度も謝るから、わたしもいいよって言ったけど、夜、沢山泣いた






たかのりくんは、また買えばいいよって言ってくれたけど、わたしにとっては、初めてたかのりくんからもらった指輪だから






毎日嬉しくて、ながめてるだけで頬が緩んじゃってたのに





新しい指輪は形が変わって帰ってきた





それが今私の右手の薬指につけてある指輪。







「臣さんにね付いてきてもらったんだけど、入ってすぐ決めちゃった。それしかないって思って」



『……ほんとにありがとう』



「うん。俺、絶対幸せにするから」



『もう幸せだよ』



「もっともっともーっと」



『ふふ。よろしくお願いします』






シチュエーションなんて関係ない
パジャマなんて関係ない





たかのりくんがいれば、わたしは笑顔になれる

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