好きすぎて ( 広臣 ) (ページ32)

今日:31 hit、昨日:14 hit、合計:293,255 hit

ネクタイページ32

バカみたいに、泣いた。
それはもう、欲しいおもちゃを買ってもらえなかった子どもみたいに。

頭も背中も、優しく撫でてくれる広臣くん
それにまた、涙が出る。

その繰り返しをかれこれ十五分は続けたかも

ただ、何も言わず、私の背中をさすって、ぽんぽんって規則正しく宥めてくれる大きな手のひらも
私以外の誰かを抱きしめたなんてネガティブに考えちゃう

また、泣く。

はぁ、情けない。
こんな思いするくらいなら、もう好きな人なんていらない
幸せが大きい分、不安や、悲しみが増えてくる

一度感じた幸せは思い出した時笑顔になれる。

でも、一度感じた不安は
心の中で泣き続ける。

ふわふわ温かい風が私の頬を掠め
うっすらまぶたを開ける

真っ暗だった目の前は、もう、朝になってた

広臣くんの腕の中で泣いてたハズの私は
いつの間にか、朝干してたふかふかのお布団の中
夢をたくさん見た気がするのに思い出せれない
すっごく幸せな夢だったのになぁ。

重たい足を頑張って動かしながら、リビングへ出ると、机に一枚の紙があった

サラサラっと書かれた広臣くんの字。

〝落ち着いたと思ったら寝たからそのまま寝かせた
今日は元気？
俺は仕事行くけど、何かあったら電話して。〟

あぁ、好きだなぁ。
悔しい、好きって、実感させられる。

見慣れたハズの広臣くんの字さえも、愛おしくて仕方が無い。

クローゼットを覗くと、私が広臣くんのお誕生日にあげたネクタイが無くなってた
きっと、今日はあのネクタイつけていったんだ

何回もそのネクタイで結ぶの練習したっけ

初めてくちゃくちゃにならずに出来た時の広臣くんのドヤ顔、今でも忘れられないなぁ。