足掻けど彼は殺人鬼【リッパー】 ページ3
＊
生前、私の住んでいた所の近くに、《先生》と呼ばれる女性が住んでいた。
何故《先生》なのかは分からないが、大人も子供も皆彼女を先生と呼んでいたので、私も先生と呼んでいた。
彼女は誰よりも博識であり、好奇心旺盛な子供達によく知識を与えていたので、先生という呼称もあながち間違ってはいないなと思ったのを覚えている。
博識である彼女は、優しかった。
この “ 私 ” にすら慈悲深く接してくれたのである。そして何より彼女は美麗であった。
今まで幾度となく女性を見てきたが、あれ程完璧な女性は見たことがない。
そんな彼女と対話をした日を、私は忘れないだろう。
霧の深い街の中、優しく微笑みそっと抱きしめてくれた彼女の温もりを。忘れる筈がないのだ。
お気付きだろうが、私は彼女に惚れている。
これ程愛おしいと感じた事はなかった。それ程に、私の中で彼女は特別なのだ。
真っ赤な薔薇を贈った時の、戸惑いで引きつった顔。
その後そっと抱き寄せた時の、驚きと焦燥の混ざった顔。
どれもがとても愛おしい。
彼女が誰にも見せたことがない、私だけの特別。
それを考えただけでとても昂ってしまって…
んん……この先は、伏せておこうか。
これより先の彼女を知るのは、私だけでいい。
.
．
.
リ「My Lady、お茶にしよう。」
愛おしい彼女の手を引いて、テラスに向かう。
おっと、Lady。体に力が入らないのかい？
ならば私が抱えて行こう。
なぁに…心配には及ばない。
君は私に身を委ねていればいいのだから。
リ「ほぅら、見てごらん。
立派なテラスだ。ここで飲むお茶はさぞ美味しいんだ。
ここの植物たちはね、サバイバー…庭師が、丹精込めて育てているんだ。
君は見た事がなかっただろう？」
椅子にLadyを座らせる。勿論、試合中サバイバー達にするように荒々しい訳が無い。
彼女を労わるように、優しく。丁寧に。陶器を扱うように。
彼女は壊れやすいんだ。
荘園の主からの施しを受けて、彼女は綺麗なまま、多少壊れにくくはなったけれど。それでも心配だからね。
何故なら彼女は
誰だって、自分のモノは大切にするだろう。
そう言えば、私は彼女の名前を知らないが、
……まあ、いいか。名前などさほど重要ではない。
大事なのは、彼女がMy Ladyで、私のモノである事。
ねぇ、先生。
こんな殺人鬼のそばに居てくれて、ありがとう。
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調香師推し - めっちゃ面白かったです！！また書いて下さい(欲張り)！ (2021年8月22日 10時) (
レス) id: c6de96ac8b (このIDを非表示/違反報告)
アンリ(プロフ) - 前作から読ませていただきました！無常の狂いっぷりがたまらん……！！好きです… (2020年7月18日 3時) (レス) id: 2f50626d50 (このIDを非表示/違反報告)
無常推し - 後日談ありがとうございます...無事に成仏できました...。無常はいいぞ...またネタが浮かんだらぜひ、さらに後日談をお願いします...(貪欲) (2020年5月26日 16時) (レス) id: 776fdad7d6 (このIDを非表示/違反報告)
精神安定剤(プロフ) - サファイアさん» リクエストありがとうございます！承りました！これからもキュンキュンできる文を書けるよう努力します…！ (2020年5月3日 8時) (レス) id: d2e3c7efd5 (このIDを非表示/違反報告)
精神安定剤(プロフ) - 無常推しさん» んんん嬉しい…ありがとうございます！後日談ですね、了解しました！ (2020年5月3日 8時) (レス) id: d2e3c7efd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：精神安定剤 | 作成日時：2020年1月12日 1時
