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北瀬 Aside
「自分の名前、言えますか？」
「北瀬 Aです」
「この指は何本」
「三本」
何ともない、そういうと、毛利さんは顔を顰めた
起き上がろうとする体を全力で止められる
「いやいや、
何ともないなら私たちがいるわけないでしょうが！
貴女あれから
ずっと意識なかったんですからね！？」
ずっと･･･
「え、」
立ち上がろうとするが、当然見越し、阻まれる
「高瀬は、どうなったんです･･･」
「自首しました。
遺体損壊の容疑で現在裁判を待っています
それと、
貴女の倒れていた家からは
貴方の他にもう1人の女性の血痕が発見されましたが、
高瀬は殺人未遂、
及び殺人未遂については否認しています･･･」
「･･･、そんなこと、
できるわけ、、、」
「あ、それと、この記事を･･･」
毛利さんの後ろ姿を見つめながら、軽く傷口を撫でる
痛みはそこまでない
･･･おおかた、あの時薬品でも塗られたのだろう
音を立てないように、床に足を着いた
「これ、」
ちょうど彼が振り向いた瞬間、
「ごめんなさい、」
呟き、廊下を走り抜ける
「ちょっと！」
遠くから叫ぶ声が聞こえる
が、滑る廊下で裸足に叶うはずもない
アパートの部屋に、中堂さんはいなかった
「っ、はぁ･･･」
息が切れて、脇腹も随分痛みが出てきた
部屋に散乱した、破られた記事を集める
"Ｎは2人いた？"
"華麗なる医家一族の暗い過去"
"報道されなかった1人の少女"
持つ手に力が入る
ガチャ、
突然開いた背後の扉
台所の包丁をそっと手に取る
振り返って見えたのは、
「どうも、お久しぶりですね」
満面の笑みの元上司
「どうです？
家出から共犯、
怪我に入院、
事情聴取まで味わった感想は？」
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作者名：抹茶金時 | 作成日時：2018年2月3日 12時
