離れない光【アンナチュラル】 (ページ31)

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木林南雲 side

「ねえ、先輩、自分の手で人を殺したいと思ったことはありますか？」

細い指で唇を抑えられた

「なんです急に？」

上に乗られたまま、ベッドに寝転んで呟く

時刻はとうに零時を回っていたが、暗い照明が

「別に、答えてくれなんて言いません

でも、

私には、

殺したい人間がいます」

殺したい人間、

1人しか思い浮かばない

ゆっくりと身体を倒してくるA

布越しに、柔らかな感触が当たる

「A？」

距離を取ろうとするが、

身体に腕を回された

「先輩のことが、

好きです

ずっと昔から」

泣きそうに、掠れた声が耳元で囁く

その言葉を、ずっと待ちわびていた

こちらからは触れられない、暗黙の、絶対の境界であったはずの一線が、

今日、やっと、越えられるようになった

背中に腕を回そうとした

「最後に、

抱いてくれても、

いいですよ、、」

だが、

その言葉で動きを止めた

「最後？どういうことです？」

目の前いっぱいに、泣いている彼女の顔

「私なんとなく、あなたの部屋にあるものを知っていました

あの葬儀の日、父に電話しました

父は、解剖記録は家の机の上に置いた、と言っていました

南雲さん、

あなたが持っていたんですね」

「、どうやって、」

「あの葬儀で、血まみれになったスーツを預かったでしょう？

ポケットに、入っていましたよ

小さな鍵が」

私は、犯人が許せない

どうしても、許せないんです

力を抜いてもたれてくるままに、目を閉じた