離れない光【アンナチュラル】 (ページ29)

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久部六郎side

「こんなに大きくなって、」

「･･･お久しぶりです、久部さん」

何故父と北瀬さんが知り合いなのかは分からない

でも、父に小さく手招きされた

「ここに出入りなさっているということは、うちの息子をご存知かな？」

ほら、挨拶を

「･･･ええ、六郎さんですよね

お世話になっております」

父は気を良くして言う

「ほら、お前も、

知っているとは思うが、

こちら北瀬総合病院の娘さんだ」

居心地悪そうに曖昧に微笑む彼女を前に、また背を押される

「あ、北瀬さん、

「そういえば、うちの息子との食事会の話は進んでおりますかな？

愚息は女性のことになると段取りが悪い、

是非今回は、

私もご一緒させて頂きたいですな」」

「ええ、･･･敦さんとお食事に行きたいのは山々なのですけれど、

今は仕事が忙しくて･･･」

"敦"

家の2番目の兄の名前

「そうでしたか･･･、

早く結婚して家庭に入ってくれれば

私も安心なのですがね」

何しろ、お父上は貴女に全てお任せのようですので

その言葉に部屋にいた全員が悟ったことだろう

彼女には、生まれの重い枷があるということを