21 ページ21
No side
「安らかなお顔で、、、、、」
こんなことがあるだろうか、
棺の中から
ご遺体が消えた
「それうちのご遺体です！」
解剖室に、悲鳴のような声が響いた今日の昼
「･･･私、中堂さんが縫合してくださったら先に葬儀場に戻っていますね」
苦笑して目の前の落ち込んだ広い背中を軽く叩いた
振り向くこともなく、透明なガラス越しに縫合の準備をする中堂さんを見ている
疲れきった、掠れたような声で
「ええ、分かりました、私も各所を回って事情と説明を聞き次第戻ります」
言ったきり、そのまま廊下を歩き始める
「･･･良かった」
北瀬は小さく呟いた
「･･･中堂さん、手伝いますよ」
「いらん、帰れ」
扉が開き、突然入ってきた北瀬を、中堂は煩わしげに拒否する
「･･･ホルムアルデヒド水溶液、使うつもりですよね？」
「お前･･･、」
手が止まる
なぜそのことを知っているのか
「･･･この状況下で貴方の考えていることくらい、分かりますよ
私、知らないまま生きていく人をこれ以上増やしたくない
手伝います」
「木林は、このことは･･･」
「もちろん内緒にして下さい
今回見つかったら、ホントに軟禁されちゃいそうなので」
「北瀬、
･･･あまり、危ないことに足を突っ込むなよ」
手際良く準備を進める姿を見て、
思わず中堂は思いだす
北瀬 摩耶
彼女の母親のことを
北瀬も同じく、思い出していた
糀谷 夕希子
彼の恋人のことを
「あれからこないだで10年経ちました」
「そうか･･･」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 364人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：抹茶金時 | 作成日時：2018年2月3日 12時
