離れない光【アンナチュラル】 (ページ14)

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木林南雲side(10年前)

「････兄も父も、もうしばらく会っていません」

すぐ後ろから、小さく話しかけてくる

「テレビや新聞なんかでは、よく見るんですけど」

今朝、新聞を見た

"北瀬晴敏"

Aの15歳離れた兄で、北瀬総合病院の息子

なんでも先日、となりまちの大病院を買収したらしく、

日本有数の大規模病院の時期院長として噂される

「･･･接し方が、分からないんですよ、きっと」

それはそうだ、あの日のことは全て黙秘し通したこの子

味わってしまった痛みは、どんなだろう

振り返り、掛けていたメガネを外した

そっと彼女の耳の上に金属のフレームを滑らせる

「A、これからはこのレンズを、他人と自分との境界だと思えばいい」

それは、ささやかで、気休めになるかどうかも分からない

でも彼女は確かに久しぶりに、安心したように笑ったのだ

「ほんとだ、やっぱり、先輩ってすごい」