乾青宗は妹を取られたくなくて必死な様子です【1】

進路 ページ37

木々が葉を落とし、空気が冷たくなってきたこの時期。



青「Aこっち向いて。マフラー巻いてあげる」

『私自分で巻けるよ』

青「いいの、俺が巻きたいだけ」


自分でマフラーを巻こうとするAの手を止め、丁寧にマフラーを巻いていく青宗。


青「うん、可愛い」

『ありがとお兄ちゃん。じゃあお姉ちゃん行ってくるね〜』







今日は土曜日。

家でAとのんびり過ごそうと思っていた青宗だったが、そのAが図書館に勉強しに行くと言い出したので護衛するとか言ってついて行くことに。


最近は何かと邪魔が入ったが今日は久しぶりに2人っきりでいつもより機嫌が良い様子の青宗。


だがしかし、そんな青宗にひとつ気がかりな事が。



青(A…志望校どこにするんだろ。お兄ちゃんまだ聞いてないんだよな…)

そう、12月となった今でもAの志望校を知らないのだ。



青(受験生に聞くのってストレスになるかな…いやでもさすがにそろそろ教えてくれてもいいんじゃないか…)



意を決して聞くことに。


青「あのさ…A、志望校ってどこ？」

ストレスになるかなとか色々心配してたくせに、結局は直球に聞いてしまう青宗。







『あれ？言ってなかったっけ？万次郎達と同じとこだよ』







青「…え？」


『だから、万次郎達と同じ高校受けるの』



まるで当然かのように話すAに、あからさまに動揺する青宗。


青「ごめんA。お兄ちゃん全然理解出来ない。あいつらと同じ高校？Aが？」

『うん』


その瞬間魂が抜けたように立ち止まって動かなくなる。








『お兄ちゃん大丈夫？』

青「全然大丈夫じゃない。え、無理…可愛い可愛いAが万次郎達が行くであろう野蛮な高校に行くなんて。今からでも遅くない。お兄ちゃんとココと同じ高校に行こう。Aの学力なら余裕だし…」


『野蛮な高校って失礼だよ…それに私が行くの普通科じゃなくて特進科だし』

青「特進科っていっても今よりレベルは下がるじゃん…どうしてそんなとこ…」

『ごめんね、もう決めたの』


青「そんな…」





衝撃の事実に驚きを隠せない青宗は何とかAを説得しようと試みるも、Aの意志は固いようで。

青(どうしよう…これじゃあAがあいつらの餌食になる…ココに相談しなくちゃ)





その日の夜泣きながら九井に相談する青宗だった。

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