反社になって再会するとは【東リべ】

Another story 2 ページ24

your side




次の日

今日はその例のCMについて、うちの企画部の人達やプロデューサーとの会議がある。俳優さんとの件もあるし少し気まずいが、今日は来ないと聞いてるし、なによりこういう仕事の勉強もしないと…。

そして一室に集まって、コンセプトや資金など多くの事を話し合っていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。

ドアの前に使用中の看板あったのに…。清掃の人が間違えたのかな？

「…ごめん、誰か見に行ってくれる？」

そう言うと一人の女性社員が「私行きます」と見に行ってくれた。

今は大事な会議中だ。こんな事で時間を無駄にする訳にはいかない、と話し合いを続けようとすると、ドアの方からキャッ！と嬉しそうな女性社員の声。

声のする方を見ると、信じられない事に、今会いたくないあの俳優さんが立っていた。


どうしよう…非常に気まずい。

隣に居る翔なんて有り得ない程怖い顔で睨みつけている。そんな顔しないで、頑張って表情筋働かせてよ…。

そんな様子の私達などおかまいなしに、きゃあきゃあと騒ぐ社員達。そりゃそうだよね、今売れに売れてる俳優さんだし、騒ぎたくなるよね。


するとプロデューサーさんが

「レオ君わざわざどうしたんだい？今をときめく売れっ子俳優がこんな所に足を運ぶなんて」

と言うと、その俳優さんは

来栖「どうしても直接お会いしたい方が居まして…、会議中にすみません」

とぺこりとお辞儀をして、部屋の中を進み私の前に立つ。

来栖「お久しぶりですAさん。急にお邪魔してすみません。あの、オファーの話は…聞いていますよね？その事について僕からもお願いがあって…」

まるで子犬の耳や尻尾まで見えるんじゃないかと錯覚するような雰囲気。整った顔。背も高くスタイルも良い。パーティーの時はよく覚えてなかったけど、改めて見るとすごいビジュアルの持ち主だなぁと驚く。


ただ黙って見つめていると、周りが

「こうやって並ぶとすごいお似合いです！」
「Aさん、芸能人に見劣りしないなんてすごいですね…」
「オファー受けてもいいんじゃないですか！せっかく来てもらったんですし！」

と騒ぎ出す社員達。

しまいにはプロデューサーまで
「どう？一条ちゃん、考え直してみない？」と。

そんな事言ったって今まで散々断っといて、直接本人にオファーされたから、はいやります、とはならないし…

でも周りの雰囲気に押されそうになると………

Another story 3→←Another story 1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す