所謂それは ver.O ページ3
.
「ね〜」
「……」
「ね〜ってばぁ、構ってよ〜、お兄ちゃん暇〜」
「…わかった」
「えっ、構ってくれんの？」
「出かける準備して、おそ松」
あまりにもおそ松がうるさいから、せっかくの休みだけど出かけることにする。
所謂デートってやつ。
さっきニュースで桜が開花したとか行ってたから川原にでも行けば桜が見られるだろう。
「A〜！ はーやーくっ！」
「はいはい、こういうときだけ準備が早いんだから」
玄関で「早く早く〜」と足踏みをしてる彼のところに向かう。
こうなることがわかってて、休みに彼の家に遊びに来たんだけど。
おそ松と私は1年ほど前から付き合ってる。
特に告白、なんてものはなくてなんとなく付き合ってる感じ。
私はそんな距離感が好きだ。
「ほ〜桜もう咲いてるじゃん」
「だからここに来たの」
「よっこらしょ」
「おじさん？」
「違いますぅ〜まだピチピチの20代だから！」
そんな会話をしながら川原に座る。
途中で買ったビールを片手にスナック菓子をつまむ。
昼間から、なんて思うかもしれないけどもう日は傾いていて空は橙色に染まっている。
たまにはこんな日も悪くない。
「な〜、A」
「ん？」
「俺さ〜就職先決まったんだよねぇ」
「へ〜……
え？ なに、就職先？」
「そそ！ 来月から〜ま、新年度ってやつ？」
へへっ、と得意げに笑いビールを飲む。
私は信じられなくて、そんな彼の行動を一部始終見つめる。
「そんなに見つめられるとお兄ちゃん照れちゃう」とか言われたけどそんなの耳に入らない。
……あの、あのおそ松が就職？
「でさ〜、俺たち付き合って1年過ぎてるじゃん」
「……ま、まあね〜」
「だから」
おそ松との距離がぐっと近くなる。
手が自然と結ばれる。
おそ松の香りに、体温に包まれる。
心臓の鼓動が、速くなる。
「そろそろ、一緒に住んでもいいんじゃないかなって」
「え…」
「いや？」
不安げに聞く彼。
そんなの特に断れる理由もないけど肯定できる理由もなくて。
ただ、1つあるとすれば。
「……いや、じゃない」
「よかった〜」
おそ松となら、いいかなって。
所謂それは、同居のお誘い。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星海(プロフ) - Mさん» りょうかいです！ 壱さんいいですよねほんと… 本当です本当です！笑 わわ、まさか読んでいただけたなんて！！ ちょっと恥ずかしいですね笑 (2017年4月6日 16時) (
レス) id: 6ed04ea75a (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 壱さんでもいいですか？バンド松が私好きで…ツンデレだと嬉しいです。笑 えぇっ本当ですかっ！嬉しいですー！私も以前リクもらってから星海さんの作品見て書き方とか凄く好きで…今他の作品も読ませてもらってます！ (2017年4月4日 4時) (レス) id: 71f3fef56b (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - おそ松に言い、彼は黄昏る感じでヒロインの前から去りましたが最終的には戻って来て、最後まで嫌がるヒロインをしつこく追いかけ回す落ちでお願いします (2017年4月3日 21時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 助けてあげました。ところが助けたとたんおそ松にベタベタしつこく付きまとわれる様になり、いきなり抱き付かれたり、ちょっかいを出されたり、くすぐられたりされ嫌がるヒロイン。迷惑で仕方無く我慢の限界が来たヒロインは「いい加減にしてくれ迷惑だ」とはっきり (2017年4月3日 21時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ - 初めまして。リクエスト良いですか？おそ松で読書好きのフリーターのヒロインはある日仕事の帰りに本屋に行きました。そこで同じ近所に住むまだ話した事も無く、ただ見掛けていただけのおそ松を本屋で見掛けました。ある日本屋でおそ松が困っていたのをヒロインは (2017年4月3日 21時) (レス) id: b9ee30de80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星海 | 作成日時：2017年3月31日 20時
