No Way Back(1)

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side:Shuta






『末吉さん、清水さんの隣に立ってもらえますか？』



秀「はい」









カバンはとりあえず持たずに足首くらいまで海の中に入って
『好きなように演じてほしい』というのが監督の指示









好きなようにって一番難しいけど
とりあえずやってみる






.









昔のように




からかい合い笑い合ったあの頃みたいに
ただまっすぐに想ってたあの頃のように


笑い合いながら追いかけてみたり後ろから抱きしめてみたり












ふと目があって見つめ合う






Aの腰を引き寄せて
俺のおでこをAのおでこにこつんとつけた



そのまま目を閉じて微笑んだ










なんだこれ




俺ずっとこうしたかったかもなんて
きっとこれは演技だから役に呑まれてるだけだ









.









『はい！オッケー、最高です...』








現場の皆さんからベタ褒めされた映像は
俺も恥ずかしくなるほどのもので




後々これが本当にCMの1シーンで使われた






.








そして最後のシーン





ホテルの一室を借りて夜景をバックにベットに2人で寝転ぶ









夜だからか雰囲気がありすぎる






.








『じゃあ、また全部お任せしちゃいます！』









Aの上に跨って左手をそっとAの右手に添える







指を絡ませ合ってその指にキスをして
右手でAの頬を撫でる








頬からだんだんと唇に手を添えてその瞳を見つめる






近くで見るとやっぱり綺麗な瞳だ
でもその奥底は読み取れない









するとAは絡ませた指をぎゅっと握ってきた









「...秀...ちゃん」









その表情はまるで









．









『秀ちゃ...ん......だめっ......っ！』









俺の目の前で乱れて感じて
俺だけの色に染まったあの日








もう気がついた時にはAに唇を重ねてた







カメラが回っているのも気にせず
ただ吸い込まれるように欲望のままに








.

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