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降谷side〜１〜
「はあ、疲れた。
まったくジンのやつ、人使いが荒いったらないわ」
俺の助手席で変装を解き、その美しいブロンドをかきあげる女性。
その見た目だけなら誰もが虜になってしまいそうな彼女だが、その冷酷な中身を知っている俺にとっては、只の仕事仲間だ。
「今に始まったことじゃないでしょう。
それに、あなたの送迎の為だけに呼び出された僕よりはマシなんじゃないですか」
「ふふ、まあそうね。
いつもありがと、運転手さん？」
軽く笑った後に、彼女が「そういえば」と話を振ってきた。
「あなた、あの子とはどうなったの？」
「またその話ですか」
おれは呆れたように装いながらも、内心は焦っていた。
なぜ彼女はこんなにもAに興味を示すんだ。やはり、なにか気づいているのか…
いや、それより、組織の中心に近くそのキャリアも長い彼女なら、Aの組織との関わりを知っていてもおかしくないかもしれない。
もしかして俺の知らない何か繋がりでもあるのか？
……だが、俺の記憶の限りでは俺達の側にいたのは“エレーナ先生”だけのはず…
俺が思考を巡らせていると、彼女はこちらの様子をうかがいながら、さらに言葉を続けた。
「そろそろ私の忠告をきいておいた方がいいと思うわよ？バーボン？」
冷たい笑みを浮かべた彼女に、背中を嫌な汗が伝った。
Aに手を出すつもりか……！？
俺は前を向いたまま、あくまで平静を装い彼女に答える。
「あの子はまだ利用価値があるんでね。
まあ、飽きたら手放しますよ。
僕の仕事のやり方にまで干渉するのはやめてもらえますか？
それに、あなたは僕を怒らせないほうがいい。
実は僕は……あなたの秘密を握っているんですよ？
組織のメンバーが知ったら驚くでしょうね…
まさかあなたがボスの…」
ゴリッという音ともに、冷たい銃の先端が俺の左頭部に押し当てられた。
「あなた…何を知ってるの？」
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作者名：蒔々 | 作成日時：2018年4月23日 10時
