恋した彼はトリプルフェイス③【名探偵コナン】 (ページ10)

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『私、あなたのことが知りたい』

私の言葉に昴さんはしばらく固まっていたが、
やがてふっと微笑むと私の瞳を覗きこんできた。

「たとえば、どんな？」

え！かかった！？これ成功したの？？

内心大騒ぎしながらも、私はそのまま“ハニートラップ”を続ける。

『あなたのことなら何でも。
そうだな、昴さんはどうしてあの“工藤さん”の家に住んでいるの？』

「ああ。それは、私が前に住んでいたアパートが火事になってね。コナン君の口利きで、ちょうど空いていたあの家に住ませてもらっているんだ」

『コナン君の口利きで？
あそこは有名な推理作家の工藤優作さんのお宅なんでしょう？コナン君は彼と知り合いなの？』

「ああ、親戚だと言っていたよ」

親戚だからって、見知らぬ男性に家を貸すのを簡単に了承するものだろうか。
コナン君と工藤氏の間にはもっと他になにかあるかも…

でもこの話はこれ以上は昴さんにきいてもわからないかもしれない。

そこで私は一番気になっていたことを彼にぶつけてみた。

『コナン君といえば、この前の誘拐事件のとき、運転してた昴さんなんだか別人みたいな時があったよね？私、なんだかどきどきしちゃって』

そう言いながら上目遣いに昴さんを見つめる。

「別人みたい？いつかな？」

『犯人の車を追跡してて、ほら、“逃しはしない”とかって言ってたときよ。
あの時の昴さん、纏ってる空気が鋭く尖ってるみたいで、いつもと違ってた』

「ああ。じゃあ、いつもの私とあの時と、どちらが君好みだったかな？」

『んー…あっちかな。
あの時のあなたにもう一度会いたいな』

私は微笑みながら答えた。
だって探りたいのはあの時見たの彼の一面だもの。

私の答えに昴さんはまた一瞬止まった。
そして何かを呟きふっと笑ったかと思うとそのまま彼の腕が私を抱き締めた。

『え？』

あっという間の出来事で、なんの抵抗も出来なかった。
そのまま彼の抱き締める腕に力が入り、私は身動きがとれない。
思っていたより強い力だった。

どうしよう、これじゃあ簡単に逃げられないんじゃ…

零ではない別の男性の香りが鼻をくすぐる。
焦る気持ちが強くなり、腕で昴さんの胸板を押したがびくともしない。

どうしよう！

必死に腕を動かそうとしていたら急に彼の腕が緩み、彼の体との間にわずかな距離があいた。
チャンスとばかりに離れようとするが、彼の腕がそれを許さない。