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“証人保護プログラム”
私に？？ なぜ？？
驚く私に、昴さんは真剣な表情で話を続けた。
「お前はある組織と関わりがあり、保護対象となっている。詳しい事まではアクセス制限があり調べられなかったが、ただ一つ言えることは…
俺には、お前を守る義務があるということだ」
私は再び昴さんのあの鋭い瞳に捕らえられた。
彼の瞳に射ぬかれて動けない私の目の前で、彼はゆっくりと自分の顔に手をあてた。
べりっという音ともに剥ぎ取られた昴さんの顔。
そしてその下から現れた別人の顔。
更に彼は首もとに手をやると、なにやらチョーカーのようなものを外した。
言葉を失っている私に向かって、初めて聞く声で彼は名乗った。
「俺の本当の名前は、赤井秀一。
FBIの捜査官だ。」
今までよりもトーンの低い彼の声が、
とても信じられないこの話に、現実味を感じさせる。
そして彼が「証拠だ」と見せた身分証には確かに
今の彼の顔写真と“FBI”の文字があった。
「信じがたい話かもしれないが、事実だ。
俺の素顔と、FBIだということは、あのボウヤも知っている。」
目の前で起きた急な彼の変化に頭が混乱する。
私がアメリカの保護プログラムで守られているなんて話も、「はい、そうですか」とすんなり受け入れられるはずがない。
でも、そんな混乱している頭でも、とにかく今の話の中での疑問を彼にぶつけてみようと思った。
『…私に関わりがある“ある組織”って、もしかして』
「そうだ。お前の恋人が所属している通称“黒の組織”。
彼らは世界的に暗躍している危険な組織で、俺も過去に潜入していたことがある。」
『え！じゃあ』
「“赤井秀一”は、お前の恋人とは顔見知りだ。
もちろん、組織の他のメンバーもな。
だから、性格や特技、やり口もある程度は把握している。」
そうか！だから今日、この人達はあんな事ができたのか！
私が心の中で納得していると、彼はさらに付け足した。
「お前の恋人については特に、な。
俺たちはライバル関係だったんでね。
もっとも、彼は俺を殺したいほど憎んでいるだろうが」
『？まさか…』
あの正義感の塊のような零が“殺したい”なんて、そんなことあるはずない。
「…この話は、今はよそう。
それより今はお前の話だ」
彼にじっと見つめられ、何を言われるのかと身構える。
「単刀直入に言おう。
A、安室君とは別れろ。」
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作者名：蒔々 | 作成日時：2018年3月17日 2時
