恋した彼はトリプルフェイス③【名探偵コナン】 (ページ25)

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ガチャリとドアが開き、出てきたのはやはり彼だった。

「ふ、そう怖い顔をしないで下さい。さあ中へ」

昴さんに促され警戒しながら中に入ると、私は部屋を見渡した。
セミスイートと思われるその部屋は、テーブルの傍にゆったりとしたソファーがあり、その向こうにはベッドがあった。

しかし、私を呼び出した張本人のはずの彼がいない。

『あれ？コナン君は…』

「ここにはきません。君の事は私に任せてほしいと頼んだので。」

そんな…じゃあ昴さんと二人きり…

慌てて出ていこうとすると強く腕を掴まれた。
数時間前の出来事が鮮明に思い出される。

『私はコナン君と話したくて来たんです！
彼がいないなら帰ります！！』

腕を振り払いたいのに昴さんの手はびくともしない。

「今回君を危険な目に合わせてしまったことは謝ります。確かめておきたい事があったもので。」

“確かめておきたいこと”
昴さんの言葉に体がぴくりと反応してしまう。

『それは…』

「君の恋人の正体」

そこを聞かれるのは覚悟していたから、答え方も準備していたのに、昴さんの目に射ぬかれるとそれらが一気に吹き飛んでしまった。

「君は、彼があの組織のメンバーだということは知っていたようですね」

何も言えないでいる私に、昴さんは追及の手を緩めない。

「組織の探り屋、バーボン。
非道な組織にありながらも殺しを好まぬ彼の行動にはどこか違和感を感じる。

……もしかして、彼には“安室透”“バーボン”の他に、もうひとつ別の顔があるのでは？」

『ーー！なんの話かわかりません！
私帰ります！！』

このままでは昴さんに全てを見透かされてしまいそうで怖かった。
早くこの場から去りたいのに彼に掴まれた腕がどうしてもほどけない。

「これ以上聞かれたくないということですね。
まあいい、彼の正体をさぐる機会はまた近いうちにありそうですからね。

それより、今度は君の話をしましょうか」

『え？』

彼の方を振り向くと、あの鋭い瞳と視線がぶつかった。

「……お前も、俺が何者なのか知りたいんじゃないのか？」

昴さんの口調が変わった。彼のもうひとつの顔が出てきていた。

私が小さく頷くと、彼の口角がふっと上がった。