恋した彼はトリプルフェイス③【名探偵コナン】 (ページ14)

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「A先輩！」

自分達の部屋に戻る途中の６号車で、蘭ちゃん達と遭遇した。
皆なんとなく落ち着かない様子なのが気になった。

「A先輩どこにいたんですか！？探してたんですよ！」

『えっと、たまたま友達が乗ってて、ちょっと話し込んでたの。
それより探してたって、どうして？』

「列車内で殺人事件があったんです！
だから８号車は今立ち入り禁止で」

『ええ！？』
まさか誰かが巻き込まれたとかじゃないよね！？
私は慌ててみんなの顔を確認する。

「お父さんと安室さん、世良さんとコナン君は捜査するって、そっちに残ってて。
私達は博士達の部屋で待機するようにって」

『あ、安室さん！？
え！？この列車に乗ってるの！？』

「え？？先輩まだ会ってないんですか？？
私達の部屋教えたから、もうてっきり会えたかと」

「Aさんが心配で追ってきたんですって～愛されてますね！」

きょとん顔の蘭ちゃんと、にやりと笑う園子ちゃん。

『あ、私あのあと友達のところに行ったからすれ違っちゃったのかも』

とりあえず二人に合わせながら私は考えた。

私はこの一週間、零とは連絡をとっていない。
彼が“組織の仕事”があると言ったからだ。
だから彼は、今日私がこの列車に乗ることは知るはずがない。
“私を追ってきた”というのは、きっと咄嗟に蘭ちゃんたちについた嘘。

となると必然的に、彼はここに組織の仕事のために乗り込んできたことになる。

ふと、さっきの昴さんの言葉が脳裏をよぎった。

ーー恋人の別の顔も見てみたかったらーー

さっきはあの場から逃げるのに必死であまり深く考えなかったが、昴さんはなぜあんな事を言ったのか…

仮に私の推理通りなら、
まるで昴さんのあの言葉は零の行動を予見しているかのようではないか。

一体どういうこと？
昴さんは何者なの？

私はなにか言い知れぬ不安が沸き上がってくるのを感じた。

昴さんの言葉を思い出す。

ーー貨物車で待っているといいーー

貨物車は確か、捜査している彼ら以外立ち入り禁止になっている８号車の、さらに奥の最後尾の車両だ。

零に会って話した方がいいのか。
でも、組織が絡んでいるのなら、状況がよくわからない今彼に会いにいくとまた足を引っ張る結果になってしまうおそれもある。

どうしよう…