バルセロナと男子ショート ページ32
朝、早く目が覚めた。
外には朝日が昇り始めている。
なんだか心が落ち着かなくて、外の海が見える場所でバレエをした。
吐く息は白くて。
頬を撫でる風が冷たい。
グランプリファイナル 男子ショート
アイスダンスのショートは次の日のため、ジャージを着てジョンと観客席に座る。
近くに座ったサーラにスンギルが電話に出てくれないし、返信もくれないと愚痴を零された。
とりあえずスルーをしておいた。
「ピチットに声かけしなくて良かったのか？」
「うん」
隣に座るジョンは納得のいかなそうな顔をしていた。
だけど、やっぱり気まずいのは変わらない。
私は膝に乗せた応援バナーを握りしめた。
最初の滑走はグランプリファイナル６位通過の勇利だった。
ヴィクトルにペアリングにキスをされて送り出された。
ジャンプの構成を変えたという勇利。
４回転フリップを入れたそうなのだ。
しかし、その４回転フリップで手をついてしまった。
回転は足りていたから本当に惜しい状態だった。
プログラムを終えた勇利は悔しそうにその場にうつ伏せになって拳を握った。
４回転フリップの失敗によるものだろう。
キスクラでもそこそこ得点は良かったものの、勇利が気がかりだった。
「A、次ピチットだぞ」
となりのジョンにそう言われ、我に返る。
視線をキスクラからリンクに写すとすでにピチットがリンクを回っている。
私は急いで膝に置いていた応援バナーを広げた。
前回のハンカチサイズからフェイスタオルのサイズになった白い布に、
緑の布を文字の形に切り取って、それをピチットの名前になるように並べる。
そして、名前の最後の文字の横にタイの国旗をつけた。
「ピチットー！！！」
必死にお腹から絞り出した声は周りの観客にかき消されてるかもしれない。
「ピチットー！！！」
ピチットまで届いてないかもしれない。
「ピチットー！！！！」
のどが痛い。
恥ずかしい。
なんで私はこんなことをしているんだ。
届いたりしないのに。
「あ…」
ピチットと目が合った。
私は呆然とその場に立ち尽くす。
それと同時にピチットがスタンバイをして観客の声が抑えられる。
曲に合わせて始まる手拍子。
私は再び手作りの応援バナーを広げた。
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鈴(プロフ) - 雪巴さん» 初めまして！コメントありがとうございます！昔スケートやってらしたんですね。滑っている文とかで至らない所もあると思いますが、楽しんで頂けるように頑張ります。 (2016年12月28日 16時) (
レス) id: c94c726e60 (このIDを非表示/違反報告)
雪巴 - ピチット君かわいい〜//// いつも楽しく読んでいます。私昔スケートやってたので夢主ちゃんやピチット君が滑っている文も夢主ちゃんがピチット君のことを考えている文もドキドキしていますこれからも頑張ってください。ピチット君愛してる (2016年12月27日 19時) (レス) id: fd274c24e7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - なっぷんさん» はじめまして。コメントありがとうございます！毎回キュンキュンしていただけてるなんて嬉しいです。自分もなんとか仲直りさせることができて安心です（笑）これからも楽しんでいただけると幸いです。 (2016年12月21日 23時) (レス) id: c94c726e60 (このIDを非表示/違反報告)
なっぷん(プロフ) - いつも楽しく読んでます！こんな私がコメントしてもよいのだろうか…と思い、いつも踏みとどまっていたのですが今回、コメントを送らせていただくことにしました！毎回キュンキュンしてます笑二人が仲直りしてよかった！これからも頑張ってください！ (2016年12月21日 1時) (レス) id: b49a9d220c (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - Mr. Nàpoliさん» はじめまして。一番好きだなんて恐縮です！ありがたいです！！楽しんで頂けるように頑張っていきます！！ (2016年12月20日 23時) (レス) id: c94c726e60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2016年12月12日 1時
