【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

相棒の心配 ページ9

いつもの練習の合間の休憩中

ジョンはAの様子がいつもと違い気になって仕方なかった。

Aはと言うと、男子シングル組が練習している様子をボーッと眺めている。

練習の時はいつも通りなのだが、こうしたちょっとした時間が空くとぼんやりとしていたりするのだ。

そして、Aの視線が誰を追っているのかも察していた。


「ピチットがどうかした？」

Aの隣に来てジョンはそう聞いてみた。

「ん？え？」

「いや、ピチット見てただろ？」





……………………。



「！？」


数秒の沈黙の後、一気にブワッとAの顔が赤くなる。

耳まで真っ赤で汗をダラダラとかく。


「み、見てないもん！！」

Aは大声でジョンに怒る。

さすがにあからさますぎる反応にジョンも驚く。


「練習しよ！！」

ズンズンとリンク内に戻るAにジョンは「マジかー…」と頭をかきながら後を追った。









「はぁー…」

練習後、ジョンは考える。


恋愛に関しては鈍感なほうではないのでわかる。

自分のパートナーであるAが恋をした。

しかも相手はタイからの留学生のピチット。

最近仲が良いみたいだし納得する部分もある。

それにしても、いつもスケートのことをクソ真面目に考えていたAが恋…。

とても喜ばしいことだ。

だがしかし、クソ真面目なAだ。

たぶんクソ真面目だから自分の恋心に気づいてない可能性が高い。

それにクソ真面目故大変なのではないかと思う。

ピチットは人懐こくてスケートの実力はたしかだ。

ああいう誰とでも仲良くなるタイプだから天然タラシな行動でクソ真面目なAは振り回されるのではないか心配だ…。




なんて長々と考えていると同じく練習を終えたであろうピチットと勇利が歩いてきた。

「ジョンの所も練習終わり？」

ピチットはいつものように人懐っこい笑顔でジョンに話しかける。

「ああ」

「今ね勇利と今日の夜外食しないかって話してたんだけどジョンも来る？」

話を聞くチャンスだとジョンは行くと伝えた。









「ヘックション」

Aはクシャミをして、愛用のティッシュカバーをつけたリンク用のティッシュで鼻をかんだ。


「ズズッ。風邪かな」

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