【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

中国大会と試合前の晩餐２ ページ48

「は？」

Aのオーラが不機嫌から怒りにレベルアップし、３人は恐怖に震え上がる。


「いや…ピチット、Aがこっちに来てるって知らないみたいだな…ハハハ…」

嘘である。

ピチットはAのコーチ達の所にAがいないことも、

Aの母も中国でバレエ現役時代の友人と再会して一緒に食事に出かけていてAは来ていないことも把握済みである。

他に行く所といえばジョンとレオの所だと知っていて連絡している。

なのでグァンホンも巻き添えでAを連れて来させようとしているのだ。


「私行かない！！」

「勇利もいるみたいだぞ」

ジョンの言葉にAの表情が変わる。


「僕火鍋嫌いなのに…」

「ヴィクトルも来てる」

「行く！」

ヴィクトルと勇利という餌付きである。

ヴィクトルがいるということでグァンホンもあっさり承諾する。


「ぐぐっ…」

Aは葛藤する。

勇利とは数ヵ月会うどころか連絡もとっていなかったのと、

ヴィクトルはAがスケートを始めたキッカケの人である。

二人と話ができるチャンスなのだ。


「…行く」

「決まりだな」









「あ…ごめん。ヴィクトルすごい飲みすぎてて…」

「皆で温泉入ろうよ〜」

あのカリスマと呼ばれたヴィクトルが酔っぱらって半裸

それに抱きつかれている勇利

ダウンしているチェレスティーノを激写するピチットに

４人は反応に困って立ち尽くしていた。


「すっごいアダルティな雰囲気だね…ネットにあげていいかな…」

「ダメだ…我慢しろ…」

携帯を持って震えるレオとグァンホンの横で、

どんどん服を脱ぎだしたヴィクトルに幻滅しないようにジョンはAの両目を手で覆った。



「あっA！なんで勝手に消えるのさ」

一通り写真を撮って満足したピチットは頬を膨らませてAにそう問う。


「別に。私の存在に気づかない程美女達と楽しそうにしてたから邪魔したら悪いかなって」

Aは冷ややかな目で顔を逸らしたまま言葉を返した。


「寂しかったなら仲間に入ってくればいいのに」

「簡単に言わないで！てか寂しくないし！！」

やれやれという顔をするピチットに対して怒っているAにジョンとレオはハラハラする。


「ごめんね。中国大会終わったらまたちゃんとご飯行こうね」

そう言ってピチットが笑うとAからだんだん怒りが薄くなっていく。


「…うん」



単純すぎるそんな様子にジョンとレオは呆れ、脱力した。

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