【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

足りないもの ページ40

グランプリシリーズのアイスダンス出場決定と

女子シングルの出場をかけてAは練習に明け暮れる。



「ハァ…ハァ…」

シングルの練習をしているAにケビンはうーん…と顎に指を添えて考え込む。


「何か足りないんだよな」

「一体どこが…」

少し考えたケビンは手をポンッと叩いた。


「色気だ」

「は？」

その発言にAの脳内に一瞬ビキニ姿の女性が通過した。

答えが出てスッキリしているケビンだが、Aは呆れたような顔をしている。


「ふざけないで」

「ふざけてなんかないさ」

ケビンはニヤリと笑った。



「色気は種類が豊富だぞ。

　そして人を惹きつける力もある。

　それがあるだけでプログラムの仕上がりは違う。

　ヴィクトルなんか見ろ。

　色気の塊すぎて男でも妊娠しそうだ」


ケビンは色気について熱弁をする。


「じゃあ色気ってどうやってつけるの？」

「わからん」

「は？」

ケビンの返事にAは素っ頓狂な声を出した。


「こればっかりはわからん。

　色気ってつけるものでもないだろうし。
　
　自分から溢れさせるものだからな」








「うーん…」

次の日、色気についてAはずっと頭を抱えていた。


「さ、練習するわよ」

練習場にやってきたキャリーにAはすぐに駆け寄った。

「キャリー、色気ってどうしたらいいと思う？」

「は？」

突然の質問に驚くキャリーにAは昨日ケビンに言われたことを話した。


「うーん…ケビンの言う通り色気って溢れさせるものだからね…」

「私ってそんなに色気ない…？」

「うーん…まったく無いわけじゃないけど、幼いというか、

　色気が弱い所はあるわね」

更に頭を抱えるAの所にジョンが訪れる。


「さっきからずっと色気がなんだって言ってるけど何の話？」

「ジョンには関係ない話…」

「あら、そうでもないわよ」

キャリーの言葉にAは驚く。


「ジョンって動き乱暴になりやすいでしょ？

　その荒々しさがとてもセクシーだって言われてるわ。

　そういう男が好きだっていう女性は多いからね」

「そんな…」

Aは肩を落とし、ジョンはそんなAの肩に手を置く。


「ま、これが俺の魅力ってわけさ。頑張りたまえ」

「調子に乗らない」



ジョンは何か思いついたようで、ニヤニヤとAを見る。


「ピチットに聞けばいいじゃん。
　
　あいつの演技の時の色気もなかなかだと思うけど」

「え…」

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