【ユーリ!!!on ICE】マーメイドの太陽

試合の後の ページ34

次の日、最後に残った男子フリーを見る為に会場には人が沢山いた。

Aもジョンと客席へと行く。

客席に行く途中、控えているピチットの姿が見えた。


「見てる。めっちゃ見てる」

「無視して」


スンギルへのプレゼントを持ったAをピチットは頬を膨らませて見ていた。

「あーあ。ピチットかわいそ」

「うるさい」

その後、スンギルにプレゼントを投げ込んだ時、視線を感じたという。


男子シングルの結果、ピチットは３位となったそうだ。









「はあ…あっという間だったね」

すべての競技が終わり、選手たちは最後にあるエキシビジョンの準備をしている。


「A！ジョン！」

ピチットもエキシビジョンの衣装に着替えて二人に駆け寄った。


「３位おめでとう」

「ありがとう」

ジョンとピチットは祝福のハグをし、Aは少し離れた所から見ている。


「A！」

ピチットは両手を広げ、Aからのハグを待った。


「わ、私日本人だからそんな事しないし…」

「都合の悪い時だけ日本人を使うな日系アメリカ人」


その時、スンギルの姿を見つけ、Aは嬉しそうな表情でスンギルの所へと駆け寄った。

そして二人は自然な流れでハグをした。


「スンギルお疲れ様。かっこよかったよ」

「ん…。プレゼント、たぶん喜ぶと思う」

「良かった」


そんな仲睦まじい姿にピチットの頬が更に膨らむ。


「Aがしてくれないなら勝手にするもん」

「え！？ちょっ…」

ピチットは後ろからAを抱きしめる。

Aはというと、突然の出来事に混乱しながらも抜け出そうとするが、ピチットが離さない。

「スンギル」

ピチットは頬を膨らませたままスンギルを見つめ、こう言った。


「一緒に写真撮ってそれＳＮＳに載せてもいい？」

「無理」








「ねえ、ちょっとおかしなことを言ってもいい？」

「そういうの大好きだ」


Aとジョンはエキシビジョンでは子供ウケを狙って、

とあるディズニー作品の一部の曲を踊った。


ダンスを終え、リンクサイドに戻るとピチットがキラキラとした表情をしていた。

「A本当にディズニー好きなんだね」

「小さい頃からよく観てるしね」

「いつか僕とエキシビジョンで踊ってよ」

大型犬のような表情で懇願するピチットにAは愛犬を思い出し、

いつものように嫌がる言葉が出ない。


「いつかね…」

「やった」


※Aの片想いである。

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