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子狐と鬼灯様のデート。 ページ49

案の定Aはたこ焼きを2個だけ食べた所で満腹になり、ビールのみを口に運ぶ。


「あまり食べれないのにどうしてお酒は入るんですか」

「不思議ですよね」

道の端に設置されたベンチに座り、2人は祭が終わっていく様を静かに眺めていた。

少しだけ酔いが入った脳内でこのままずっとこうしていたいとAが思う中鬼灯は口を開く。


「仕事の件ですが、確かに貴女の言う通りだと思いました。

自分で仕事が落ち着いたらと言った手前、結局は自分で仕事を増やしてしまうなんて。

これからは気をつけます」


Aはビールを飲み干し、笑って見せた。

「もういいんです。今日のお祭り何だかんだ楽しかったし。

それに、私も鬼灯様が何かに首を突っ込んだり仕事を優先する事に覚悟を決めました。

こんな事くらいで騒いでたらキリがないですもん。

私は鬼灯様のお嫁さんになるんですから」


伸ばしかけた手を引っ込め、額に手を添えた鬼灯は数秒間唸るように長い息を吐き

険しい顔を向けた。


「ちょっと抱っこしてもいいですか」

「なんでそうなるんですか!?」



抱きあげようと服を掴んで離さない鬼灯と「こ、ここ人前だし、重いし…」と抵抗するAを

通り過ぎる獄卒達は暖かい眼差しで見守っている。


「重いわけないでしょうが。体重も元に戻しきれてないのに」

「だって最近仕事忙しかったんですもん!」


力に勝てるはずもないAは軽々と鬼灯に抱き上げられ、

せめてでもと自分の顔を隠して無駄な抵抗をした。


「…鬼灯様は少しでも私の事を考える時ありますか?」

「毎日ふとした時に思い浮かびますよ。

閻魔殿の中で貴女を見かけた時は元気そうなのかはほ観察してしまう」


胸と顔の熱が篭っていき、もう1つ質問しようとしたAはやっぱりやめようと思いとどまった。


今日はいいや。充分すぎる程幸せだもの。



「…白無垢のカタログ、私にも見せて下さいね」

「さては一子と二子から聞きましたね」

どうだろうかとクスクスと笑いながら

鬼灯の耳元に口を寄せた。


「鬼灯様の事とても大好きですよ」




変わらぬ表情でじっとAの事を見つめた鬼灯は


「今からこのまま走って送ります」

「え?…ぎゃああ!」

桃源郷へと向かい走り出し、Aの叫びが夜の闇へと響き渡った。



✱おまけ✱

「おかえ…りっ!?」


戸を開けた桃太郎は息を切らす鬼灯の肩に抱えられ、

顔を真っ青にして脱力しているAに驚いたのだった。

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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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