子狐、巻き込まれます。 ページ43
「妲己!!テメェのヘボ部下も含めて衆合から出てけやコラァ!」
外で延々と騒ぐ男にAが誰かと周りに尋ねれば、
何かと狐を目の敵にする八百八狸が頭の隠神刑部の御前。
騒いでいる内容を聞くと檎の借金や自分達のナワバリに妲己が支店を出したのが気に食わないらしい。
それとデブ専らしく、細身の狐の店が進出してきたとなれば黙ってはいられないのだろう。
「狐って言うか妲己姐さんが気に食わないんじゃ…」
「いやいや、ここまで来たら狐と狸の全面戦そ…」
途中まで言いかけた檎は口を開けてガタガタと外を指さし震えており、
Aも何だと外を見れば同じく口を開けて驚いた。
「今デブ専がどうとか聞こえましたがあまりにもくだらない理由だった場合
罰としてそれなりに引っかき回して事を面白おかしくしますよ」
御前と話す人物、鬼灯に妲己以外の皆はまたややこしい人物が来たと顔を青くする。
傍にお香もいる為、この騒ぎを相談して連れて来たのだろうと推測した。
「 お嬢は絶対外に出ん方がええ。ややこしくなる。
今お嬢が出てあの兄さんの婚約者と知ればあの狸の怒りはヒートアップして収まるものも収まらんくなる」
力説する檎にAが納得しかけた時、
隣にいたミキが「本音は?」と声をかければ
「お嬢を巻き込んだとバレたら何されるかわからんくて怖い」
思わず暴露する本当の理由に呆れながらも、
小さい頃から狐仲間として檎は好きなので今回は仕方ないと店で大人しくしている事にした。
第一、鬼灯の婚約者とバレればややこしくなるのも目に見える。
妲己が「仕方ないわね」と溜息を吐いて店の外へと出て行き、その後を檎とミキも続いた。
陰ながら話の行く末を見守っていると鬼灯の持ちかけで一般の客も巻き込んだ狸と狐の化け比べ勝負という流れになり、
妲己も御前も互いに張り合いながらも異論はないようである。
「決まったな!!勝負は次の祝日の夜だ!!!
大々的に宣伝しておけ!!」
御前の言葉でAは1人店の中でガンッと壁を叩き、ギラリと外を睨みつけ
その表情にオジヤ達も思わず後ずさりをした。
「次の祝日は鬼灯様をデートに誘おうと思ったのに…
あの人こんな面白そうな事に自ら進んで運営をするに決まってる…
仕事が落ち着いたら結婚するって言っておいて自分から仕事を呼び寄せる癖は何なんだ…」
1人ブツブツと早口で呟くAは怒りが治まらず、
ついには勢いよく店を飛び出した。
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鈴(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2020年7月2日 3時