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子狐と泣き疲れて迎えた朝。 ページ25

「Aちゃんの誤解は解けた?」

裁判の合間、閻魔大王は鬼灯にそう尋ねるが

当の鬼灯は次の裁判の準備で忙しそうに亡者の情報を確認していた。


「Aさんは3日間有給をとっているので出勤していません」

「え!?お休みなの?家に行ったりしたら?

別に行くのは始めてじゃないんだし…」

「私の事はいいから仕事をしなさい!」

「鬼灯くんが行くって言わないと仕事しないもーん」

「『もーん』って何ですか大人気ない。

そっちがその気なら…」

鬼灯が金棒を手に取り、肩にかけて迫りだした所で閻魔大王は慌てて「仕事するってば!」と慌てだし、

他の獄卒に次の亡者を呼ぶように伝える。

ようやく仕事を始めた閻魔大王にため息をつきながら珍しく空を見つめた。



「私だって考えてないわけではないんですよ」









「朝だ…寝すぎた」

昨日、帰宅した後部屋で散々泣いてそのまま泣き疲れて寝てしまったAが起きた時にはすっかり日は変わっていた。

「あれよあれよと有給3日間とることになったけど、

お店の手伝いでもしようかな」

実は給湯室でアヤメに縋って泣いていた所を薬剤部の主任に見つかってしまい、

アヤメが咄嗟に体調が悪いのだと誤魔化したらすぐに診察、早退の手続きと進んでいき

最近働きすぎなくらい働いていたからと3日間の有給を勧められて申請したのだ。


「消化しないといけなかったし良かった」

取り敢えずはお風呂に入ろうと着替えとタオルを持って風呂場に向かう。

「ふぅ…」

湯に浸かり、ボンヤリと天井に登っていく湯気を見送り

閻魔殿に泊まった時の事が脳内に蘇った。

「お風呂苦手だったの…鬼灯様が克服してくれたんだっけ」

小さい頃、大嫌いだったお風呂は鬼灯が閻魔殿でのお泊まりの際に一緒に入浴し、

少し荒療治な部分はあったがそのおかげで克服されたのだ。

「あはは。始めて今この人に逆らったらヤバイって思ったな

シャンプーと、ブラッシングが気持ちよくて

沢山のアヒル浮かべて遊んで…」

また溢れてきた涙を湯船に沈んで誤魔化した。



想いを言葉にしたことは後悔していない。

むしろ、胸がどこかスッキリとした。

なんで今まで伝えなかったんだろうと思ったくらいに。

「おかげで前を向けそうだ」






お風呂から上がって着替えたAはそのまま店の方へと赴くと何やら白澤の騒がしい声が聞こえてくる。

「だあああ!何度もしつこいな!」


とある1枚の手紙を破こうとしていた。

子狐の所に鬼灯様が訪れました。→←子狐想いを断ち切ります。



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(プロフ) - とーとばっくさん» 読んでいただき、ありがとうございます。自分のペースで更新頑張りたいと思います。 (2020年7月20日 15時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
とーとばっく - とても面白かったです!これからも無理のない程度に更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月20日 6時) (レス) id: 10c7904400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php  
作成日時:2020年7月2日 3時

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