【鬼灯の冷徹】子狐こんこん弐

子狐試験を受けます。 ページ20

夜、Aが勉強をしていると、コンコンッと自室をノックする音が聞こえた。

Aが返事をすると桃太郎がドアを開けて顔を覗かせた。


「夜食のおにぎり作ったよ」

「ありがとう」

Aはおにぎりとお茶が乗ったお盆を受け取り、机の上に置いておにぎりを食べ始める。

桃太郎は勉強していたノートを見て、Aの頭を撫でた。

「Aはこんなに頑張ってるから明日の試験はきっと大丈夫だよ」

あっという間に過ぎ去った２ヶ月。

この期間桃太郎がAが店を手伝いながら毎日必死に勉強をしていたのを知っていた。

昔からAの勉強面で手こずったことはないが、あんなに小さかったAが…

と記憶を蘇らせていた桃太郎から涙が出てくる。

「あんなに小さかったのに…くっ…」

「おおげさな…」









「はい。着いたよ」

試験の会場まで送って行った白澤はAの顔を両手でぎゅっーっと挟む。

「毎日良く頑張ったね。自分のやってきたことを信じて頑張っておいで」

「うん。ありがとう」

「あんなに小さくて可愛かったこんちゃんが…今も滅茶苦茶可愛いんだけどさ」

白澤は今までの記憶を巡らせ…


「こんちゃんはお嫁に出さないから！」

抱きついてメソメソと泣く白澤にAは「試験行くから離して！」と叫んだ。









１週間後…


試験も終わりいつもどおりの日常が戻ってきた。

いつも通り店を手伝っていると、お客さんに混じって郵便配達のお兄さんがお店に入ってくる。

「Aさん。郵便です」

「はい」

届いた手紙は薬剤師試験の合否の結果を知らせる手紙であり、

Aは手紙を開こうとしたが、客に呼ばれてしまい、手紙をポケットに入れて仕事に戻った。




「はあ〜休憩休憩」

客の出入りがなくなり落ち着いたので、桃太郎達は休憩しようとお茶とお客さんに貰ったお菓子を用意する。

「うさぎさん達も集合〜」

白澤に呼ばれ、集まってきた見習いのうさぎ達もお菓子を受け取って食べる。

合否の結果の手紙のことを思い出したAはお茶をすすり、手紙の封を開けた。


「このお菓子美味しいっすね」

「これ今天国で人気のお菓子らしいよ…ごふっ！！！」


お菓子を食べながら談笑している白澤と桃太郎にAが盛大にダイブした。



「合格してた！！……あれ？」



喜びを露にするAだが、白澤と桃太郎はダイブされた衝撃でお菓子を喉に詰まらせて真っ青な顔で地面でもがいていたのだった。

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