お話し16 ページ16
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…しばらく経って。
「…到着、」
ふぅ、とため息ついたユンギさんが
シートベルトを外しながら呟く。
「…」
お洒落なマンション〜素敵〜〜！！
…なんて、
絶対に言ってやんないんだから。
そう思いながらも、視線は窓の外へ。
1、2、3…
ざっと見て15階建てくらいのマンション。
エントランスも広くて、
…まぁまぁ素敵。というか、かなり素敵。
ふんっ…
なんであんな捻くれ野郎がこんな素敵なマンション住んでんのよっ…
むぎゅ、
「むっ…」
「なに拗ねてんだよ」
ほっぺたの痛みに慌てて振り向くと、
いつの間にかこっちを睨んで
あたしのほっぺたを摘むユンギさん。
「…おい」
「べふに…ふねてましぇんっ…」
「今日の打ち合わせでミスを指摘したことか？」
片手をあたしのほっぺたから離し、
ハンドルにつきながら身体をあたしに向ける。
「それとも。……無視したことか？」
なんか、落ち着いた…大人な表情。
「っ…」
悔しい。
「あれは…お前の為にしたことだ。」
「…へっ…？」
でも、
困ったように頭を掻く仕草が、
視界の隅っこに見えて。
「とにかくお前の為だ。…気分悪くさせたなら悪かった。」
前を見つめるユンギさんの、
綺麗な横顔が際立ってる。
「あたしの為って…なんで…」
「お前の立場。…可哀想だろ、」
一瞬下を向いたあと、
微かに…そう呟くユンギさん。
「……あーこいつは、こんな冷たくて意地悪い男と見合いしたんだなーって周りに知られんだぞ？少なくとも、俺を知ってる…キムとかチョンに。」
そう言って、
ふっ、て笑う。
「……自覚…あるんです、ね…」
「…あ？…どーゆー意味だよ、」
でも、
すぐに真顔に戻っちゃう。
「もっと…笑ってほしいのに。」
ユンギさんはきっと、
…もっと、優しい人なのに。
「許します。…会社のこと、」
「ん、つか…なに勘違いしてんだよ。別にお前に許してくれとか頼んでるわけじゃ、」
ほら。
そうやって、ネチネチ言う。
でも……
それでもね、
「…はい、仲直り。」
きゅっと結ぶ、あたしとユンギさんの小指。
「ユンギさん。…今日から、宜しくお願いしますっ、」
そんなユンギさんが、
あたしは結構…気に入ったかも。
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作者名：ZISU
| 作成日時：2016年6月26日 1時
