Bittersweet (ページ6)

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いろんな土地を一通り見て回り、今後の話をするために一度近くにあったカフェに入ることにした

「青山も代官山もいいねぇ」

「どこに立てても集客は見込めそうだな」

地図を広げながら熱い議論を交わすふたりを尻目に、アイスカフェラテをストローで飲む。うーん、美味しくない

「松本くんはどっちがいいと思う？」

相葉さんが満面の笑みで俺に聞いてきた

「 …………どっちも嫌です」

「は？」

地図を舐めるように眺めていた櫻井さんが顔を上げた

「青山に建てても代官山に建てても、ありきたりの店になって、ありきたりな客が来ます。そんな店に俺はしたくない」

「何言ってるんだ？もしそうなったとしても、それはありきたりなものしか作れないお前の責任だろう？」

櫻井さんがイライラと俺を睨みながら言い放つ

「そうかもしれません。でも俺は、そんなやつにはなりたくない。そのためにも、ありきたりなところに建てて、ありきたりな店にするのは嫌なんです」

俺がキッパリと言い放つと、櫻井さんは驚いたように目を見開いた

「松本くんはどんなところに建てたいの？」

相葉さんが優しく俺に尋ねてくれる

「 ……出来ることなら、浅草に店を出したいです」

「はぁ？浅草？何いってんの？」

「俺、浅草とパリって似てると思うんです。……だから浅草に建てたいって、浅はかだとは思うんですけど、でも、〝ありきたり〟ではないと思うんです」

あー、俺って語彙力ないな。こんなんじゃ全然ふたりに伝わらない。

櫻井さんにまたきつく言い返されると思ったけど、櫻井さんは何も言わずにまた視線を地図に戻した

「うーん、浅草かあ～……あそこは店の立ち替わりがあんまり激しくないからなぁ……空いてる場所あるかなあ」

相葉さんは困ったように頬をかいた

「ったく。訳のわからないこと言いやがって。今日はもう解散だ」

櫻井さんは地図を丸めて立ち上がった

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