114話.藤 ページ14
体術とフォースを駆使しながら戦い続けて一体どのくらい経過しただろう。
上へと続く階段の所々に設置された窓からは朝日が差し込んで、暗かった階段が少しだけ明るくなる。
それでもなお、兵士は増え続け、戦いは一向に終わる気配がない。
一人一人は大したことないんやけどこうも数が多いと…
このままじゃ淳太のところまでいつになってもたどり着けへん。
その時だった。
小「流星、先に行け！！」
は、何言っとるん？？
小「ええから、行け。ここは俺と濱ちゃんでなんとかするから。」
藤「そんな、これだけの数無茶やって…」
神「せや、6人でも手一杯やって言うのに2人でなんて無茶やん。」
濱「無茶も何もここで止まってたらしゃーないやろ。このままここおったら淳太そのうち死んでまうかも知れへんねんで？」
その言葉に照史の肩がビクッとなり、不安げな目が濱ちゃんを見る。
重「そんな…そんなん嫌や。淳太が死ぬなんて嫌や！！」
濱「せやろ？ここは俺らでなんとかするから、お前らは俺らに構わず先行き！…望、やれるな？」
小「当たり前やろ！こっちには濱ちゃんが付いてんねんぞ！」
望のピンクの光剣がさらに輝きを増す。
本気やねんな。
その様子を見て俺の中でも覚悟が固まる。
重「…みんな！行こう！！」
「「「おん！」」」
しげの掛け声に3人が口を揃えて応える。
その様子を見て望と背中あわせで戦っていた濱ちゃんがポケットから一本の煙草を取り出し、口にくわえた。
その瞬間、濱ちゃんの持つ短剣に炎が灯る。
濱「俺らが道作ったる。一瞬やからしげと照史は流星と神ちゃん抱えて。ダッシュや。」
しげが神ちゃんを、照史が俺を背中に乗せる。
藤「望、死ぬんやないぞ」
小「そっちもな。流星」
濱「今や！！！！行け！！！」
兵士の間に小さな隙間が出来た一瞬、濱ちゃんと望が同時に剣を振り下ろす。
濱ちゃんの炎が望の剣の衝撃波によって二つに切り裂かれ、兵士の間に二つの高い炎の壁を作り、その隙間に一筋の道が現れる。
濱「走れ！！！」
その瞬間、しげと照史の足がそれぞれ赤とオレンジに光り、一瞬のうちに俺らの体は石でできた大きな扉の前に来ていた。
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作者名：そら | 作成日時：2019年5月8日 18時
