【3104 Birthday Box】 1126 BD 2015 (ページ9)

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いつでも彼の後ろ姿ばかり見ているような気がしていた。

大野さんの背中は美しかった。

僕はまず、彼の背中と後頭部が好きになった。

それがいつの間にか、彼が僕の方を振り向いてくれるようになった。

夜、眠るとき、僕は彼のことを考えるようになった。

大野さんの言葉を思い出し、笑ったときの頬を思い出し、横を向いてうつむいているときのうなじを思い出す。

そのうち、思い出すだけじゃ物足りなくなって、想像するようになった。

彼が僕に向かって笑っているところを想像し、それから、僕の肩を優しく抱いてくれるところを想像する。

それは、とても罪深く思えた。

だって、大野さんは男で、結婚していて、奥さんのAさんをこの上なく愛していたから。

男の僕がそんなことを想像すること自体、彼を汚す行為なのだ。

でも、我慢することなんてできなかった…

…僕は、恋に落ちたのかもしれない。

　
彼の身体を抱き寄せたい。

素敵なカーブを描く首筋に、唇を這わせたい。

耳元で彼のため息を聞いてみたい。

でも、これはただの想像だから。

僕一人の想像に過ぎないから。

彼と固く抱き合う自分を想像して…うっとりして、やがて惨めさが胸を刺す。

だが、僕は考えることをやめられない。

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僕は恋に落ちたのかもしれない。

でも、それは意味のないことだ。

明日も僕たちは、一緒に仕事をする。

そして僕は時々、ほんの時々、彼のことを考える。

それだけ。

それだけのことだ。

オワリ

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